腰痛を招く悪い姿勢とは? 正しい姿勢をつくるストレッチと5つのポイント
こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。
腰が痛くて朝起き上がれない。
椅子から立ち上がるときに、腰が痛い。
車の運転をしていると、腰に痛みを感じる。
みなさまはこのような経験はありませんか?
たとえば、20代の頃は腰に痛みを感じたことはなかったのに、40代を過ぎてから、さまざまな場面で腰痛に悩まされることが多くなった。
腰痛の原因となるようなことをした覚えはないけれども腰に鈍い痛みを感じる。
など、このような身に覚えのないゆらぎ世代の腰痛は、姿勢の悪さが原因であることが多いのです。
姿勢は、長い年月の間に形成させれた癖のようなものなので、無意識のうちに悪い姿勢で毎日を過ごすことで腰痛を引き起こしている可能性があります。
腰痛がひどくなると、このまま痛みが続くのではないかと不安になりますよね。
今回はすでに腰痛に悩まれている方やまだまだ腰痛なんて先の話と思っている方に、40~50代のいまだからこそ習慣化してほしい正しい姿勢へ導く方法をご紹介します。
目次
1. 姿勢が悪いとなぜ腰痛になるの?
40~50代で起こる腰痛の原因として多いのは、姿勢の悪さです。
姿勢が良い状態というのは、関節や筋肉に余計な負担がかからない状態です。
姿勢が悪いと筋肉や関節に負担がかかり続け、肩こりや腰痛、関節痛などを引き起こしてしまいます。
2. 腰痛を引き起こす悪い姿勢とは?
悪い姿勢の中でもとくに腰痛を引き起こす代表的なものは以下のとおりです。
・猫背
・背もたれに寄りかかる
・腰を反った姿勢(反り腰)
このような姿勢は筋肉を緊張させてしまうため、疲労や負担が大きくなります。
普段の自分の姿勢がどのような状態であるか定期的に確認することが大切です。
2-1. 姿勢チェック方法
自分の姿勢が正しいかどうかを確認できる簡単な方法をご紹介します。
1. 壁に背中をつけて立ちます。このとき顎を引いて軽く胸を張りましょう。
2. 後頭部・肩甲骨・お尻・かかとを壁につけます。
2の姿勢のまま、腰のうしろの隙間に手のひらがギリギリ入るようようであれば正しい姿勢といえます。
一方、腰のうしろの隙間に手がすっぽり入ってしまう場合は、反り腰の傾向があります。
力を入れないと頭から背中にかけて壁につけることができない場合は、加齢による筋力の低下や習慣化された悪い姿勢、猫背などが原因の一つである頭の重みを支えられない首下がりの傾向があるといえます。
2-2. 腰に一番負担がかかるのは「座る姿勢」
姿勢が悪いと腰痛を引き起こす可能性があるとご紹介しましたが、とくに腰に負担が一番かかるのは座っているときの姿勢です。
椅子に座っているときの姿勢が悪いと腰痛を引き起こすといわれる理由は、椅子に座っていると股関節が曲がり腹筋も緩むため、上半身の重さや動きを支えるための負担が腹筋以外の背中や腰の筋肉・背骨と椎間板にかかってしまうためです。
とくにパソコン作業などを行う際によく見られる「座りながら前傾になる姿勢」は、腰部の背骨が前方に湾曲しやすくなるため、さらに大きな負担を与えてしまいます。
3. 腰に負担をかけない正しい姿勢とは?
腰痛を軽減するためには、常に正しい姿勢を意識することが大切です。では腰に負担が少ない正しい姿勢とはどのような姿勢でしょうか。
場面に応じた正しい姿勢の作り方についてご紹介します。
3-1. 腰に負担をかけない基本の座り方
背もたれのある椅子に深く腰かけ、いつもの姿勢をとりましょう。
1. 骨盤を垂直に立てます。この状態が正しい座り方の基本となるので、しっかり意識することが大切です。
2. 肩甲骨の一番下の高さにある背骨を意識しながら、丸まった背中を伸ばし胸を張ります。
3. 両肩をうしろに引きます。
4. 頭を少しうしろに引くか、顎を軽く引きましょう。
5. 背もたれに寄りかかります。
背もたれに寄りかかるよりも、背筋をピンと伸ばした方が良いのでは? と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに背筋を真っすぐに伸ばした姿勢は正しい姿勢ですが、この姿勢のまま長時間座っていることは難しく、次第に姿勢が崩れてしまいます。
無理をして正しい姿勢を取るよりも、力を抜いて良い姿勢を取ることが正しい姿勢を保つ大切なポイントです。
3-2. パソコン作業中の正しい座り方
パソコン作業は姿勢の悪さを招く大きな原因の一つです。
とくにノート型パソコンは画面を覗き込むようにして作業をするため猫背の原因となります。
ノートパソコンを使用する場合は、画面と目線が同じ高さになるように台などの上に置き、外付けや無線でつなぐタイプのキーボードを使用しましょう。
ではパソコン作業を行う際の正しい座り方についてご紹介します。
1. 椅子の背もたれにしっかりと寄りかかるようにして座ります。
2. 椅子と机を近づけ、腕を下したときに肘が体から離れないようにしましょう。
3. 背筋を伸ばし肘から先を水平にして、手の平の下にキーボードを置きます。キーボードが前の方に行き過ぎると猫背になってしまいます。
肘が肩の真下にくるようにすると自然に良い姿勢を作ることができます。
4. この姿勢で、目線の先にパソコンの画面がくるようにしましょう。
3-3. 車を運転するときの座り方
座って行うことといえば、車の運転があります。
車の運転は長時間に及ぶこともあるため、疲れの軽減のためにも正しい姿勢を意識することが大切です。
1. シートがうしろに離れすぎたり、背もたれが倒れすぎていないか確認しましょう。
2. シートのもっとも奥にお尻をつけるように座り、腰に適度な反りをつくります。
3. 腕は適度に曲がり、リラックスした状態でハンドルを握ります。
180度ハンドルをきっても背中が浮かない姿勢をとると、腰にかかる負担を軽減することができます。
3-4. 若々しい立ち姿を意識する
座ったときの姿勢だけではなく、立ち姿を意識することも大切です。
顎が前に出て背中が丸くなっていたり、下腹が出て膝が曲がっているといった姿勢は、腰痛だけでなく、肩こりや膝痛を引き起こす原因となります。
また年齢をよりも老けた印象を与えてしまいます。
正しい立ち姿は、両足に均等に体重がかかり、背筋は真っすぐ上下に伸びており、頭もしっかり支えられている状態です。
正しく立つためには、足裏全体で床を踏みしめ、腹筋を意識し下腹が前に出ないようすることがポイントです。
女性の場合、高いヒールは、膝が折れ、姿勢が悪くなる原因になります。
たまのお洒落には高いヒールでも良いですが、日常的にはフラットシューズから3cm程度までのヒールを選ぶ方が良いでしょう。
4. 腰痛対策! 正しい姿勢へ導くストレッチ
腰痛予防や痛みを軽減するためには、ストレッチが効果的です。
腰を支える筋肉を強化し柔軟性を高めることで、姿勢を矯正する効果が期待できます。
4-1. 腰を伸ばすストレッチ
1. 仰向けに寝て、両膝を両手で抱え込みます。
2. 1セット3~5回とし、1日に数回行いましょう。
4-2. おしりの筋肉と背筋を強化するストレッチ
1. うつ伏せで寝て、全身の力を抜いてリラックスします。
2. 脚を床につけたまま、上体をゆっくりそらします。
3. 1セット3~5回とし、1日に数回行いましょう。
お風呂上りや就寝前に行うと効果的です。
4-2. 座ったままできるストレッチ
仕事の合間にリフレッシュもかねて行いましょう。
1. 椅子に浅く腰かけ、膝を肩幅に広げます。
2. 座ったまま腕を膝の間に入れるように、上体をゆっくりを前に倒します。
3. ゆっくり体を起こし、首を回したり肩を上げ下げして肩をほぐします。
椅子にキャスターがついているときは、椅子が動かないように気をつけましょう。
5. 日常生活で気をつけたい5つのポイント
腰痛を予防するためには、正しい姿勢を意識することやストレッチを行うことが大切です。
しかしそれ以外にも腰に負担がかかる要因は多くあります。
日常生活を送る上で、気を付けたいポイントを4つご紹介します。
5-1. 30分以上同じ姿勢を続けない
正しい姿勢であっても同じ姿勢を長時間とっていると筋肉が固まってしまうため、腰や首・肩に負担をかけてしまいます。
同じ姿勢を30分続けたら、トイレに行ったり立ち上がったり、少し歩き回るなど違う姿勢をとるようにしましょう。
席から離れることが難しい場合は、首を回したりするなど簡単なストレッチを行うことをおすすめします。
5-2. 適度に運動する
年齢とともに筋力が低下していくと腹圧も下がり、腰の支持性が低下します。
背骨や腰を支える筋肉の衰えを防ぎ、柔軟性を保つためにも適度な運動を心がけましょう。
運動の中でも水中ウォーキングは、水の抵抗で筋力がつき、また浮力によって腰への負担が少ないのでおすすめです。
重力がかからない分、骨の強化にはなりませんので、ご注意を。
ウォーキングやストレッチなども効果的です。
5-3. 太りすぎに注意
体重が1kg増加すると、腹囲が1cm大きくなるといわれています。
お腹周りが大きくなると、重心が前の方になるため必然的に腰が反るような姿勢になります。
こうした姿勢を続けていると反り腰になり腰痛を引き起こしてしまうのです。
また体重増加は腰痛だけではなく、生活習慣病のリスクを上昇させてしまうため、体重コントロールは健康的な生活を送るためには重要です。
5-4. ゆっくり入浴する
腰痛を引き起こす原因の一つに精神的なストレスがあります。
入浴は体を温める以外にもストレス解消にも効果があります。
日頃から強いストレスを感じ続けているとコルチゾールというステロイドホルモンが分泌され筋力の低下を引き起こします。
正しい姿勢を維持するためには、筋力低下を防ぐことも大切です。
コルチゾールが過剰に分泌されると筋肉が分解されてしまうため、腰痛だけではなく健康面においてもゆっくり入浴しストレスを解消しましょう、
ストレス解消や入浴後のストレッチをより効果的にするためにもシャワーだけではなく、40℃程度のお湯に30分程度湯船に浸かるようにしましょう。
岩塩や炭酸ガスを発生させる入浴剤、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)を入れると温浴効果が高まります。
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5-5. 寝るときは「胎児」の姿勢が効果的
腰に痛みがあるときは、仰向けで寝ると寝返りを上手く打てず夜中に目が覚めてしまったり、朝腰が痛くて起き上がれないことがあるため、寝る姿勢に注意が必要です。
寝るときは横向きになり息を吐きながら、両膝を抱えるような姿勢をとると腰への負担が軽減されます。
胎児のような姿勢をイメージすると良いでしょう。
6. 正しい姿勢は腰痛予防と若々しい印象を与える!
年齢を重ねていくと、これまでの当たり前のように行ってきた習慣からなかなか抜け出せないこともありますよね。
しかしその習慣が健康を損ねてしまうとなれば、ちょっと頑張ろう! と思えるのではないでしょうか。
小さい頃は姿勢が悪いと「正しい姿勢で!」と親や学校の先生にいわれ嫌な気分になったこともありましたが、いまはとても大切なことだったと理解できます。
正しい姿勢は見た目の印象にも大きな影響を与えます。
「姿勢美人は健康美人」
これは祖母の口癖でした。
腰痛になるとどうしても腰をかばい、歩き姿や立ち姿が乱れてしまいます。
そうならないためにも正しい姿勢を意識して、毎日できることから腰痛対策をはじめましょう!
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか
和重 景
主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。