こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

乾燥した冬の季節が来るたび、肌の状態が気になる方も多いのではないでしょうか。

なかにはカサついた肌にかゆみや赤みが生じ、毎年悩まされている方も多いかと思います。

しかし、かゆみだけではなく、赤くもりあがったような状態が肌に見られるようであれば、それは「乾癬(かんせん)」かもしれません。

乾癬とは、慢性的な皮膚疾患のことであり、一般的な乾燥肌や湿疹とは違います。

そのため保湿ケアだけでは治すことが難しく、ステロイドなどの外用薬や、状況によっては内服薬や注射剤を使うなど、医師による専門的な治療が必要です。
ただし、根治は難しい皮膚疾患の一つです。

ここでは、乾癬とはどのような症状で何が原因なのか、どのような治療法が行われるのかを、詳しく紹介します。

1.乾癬とは

温湿度計

乾癬とは慢性的な皮膚疾患です。

乾癬は、皮膚の代謝が異常になり、皮膚細胞が異常に増殖し、表皮と角層が分厚くなる皮膚疾患です。乾癬の症状は、皮膚が赤くなってもりあがり、銀白色のかさぶたのようなものが生じることが多いです。

頭皮やその生え際や肘などを中心に、全身のあちこちにそうした症状が出てくることがあります。

かゆみを伴う発疹がみられるため、一般的な湿疹と混同しがちです。

また、皮膚だけでなく、爪や関節にも症状が現れ変形を起こすケースも見られます。

夏よりも乾燥しがちな冬に症状が悪化しやすいのが特徴です。

1-1.体のどの部分に症状が出るのか

乾癬は全身のあらゆる個所に現れますが、とくに多いのが以下の部分です。

・頭皮や、その生え際
・肘
・ひざ
・おしりの周り

擦れる部位にできやすくなります。

乾癬にはいくつかの種類がありますが、もっとも多いのが「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」という症状です。

これは、皮膚に赤い発疹ができた後、その表面に銀白色のかさぶたのようなものができる状態です。

上記の場所にできやすいため、普段からこれらの箇所に治りづらい発疹が生じる場合は、乾癬を疑う必要があるかもしれません。

1-2.乾癬の症状は大きく分けて5つ

乾癬は大きく以下の5つの症状に分けられます。

1.尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)

乾癬患者のおよそ8割に当てはまります。

皮膚が赤く盛り上がり、銀白色のかさぶたのようなものができて剥がれ落ちるのが特徴です。

尋常性乾癬を患うおよそ半数の人にはかゆみも伴います。

2.乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)

乾癬性関節炎は、手足の関節などに症状が現れます。

関節が腫れたりこわばったりするので、リウマチと間違えられやすいです。

乾癬を患う人のおよそ15%がこの症状も合併するといわれています。
皮膚症状と合併することがほとんどです。

3.滴状乾癬(てきじょうかんせん)

滴状乾癬は、全身にわたって小さな赤い発疹が出るのが特徴です。

子どもや若年層において発症しやすく、扁桃腺炎や風邪などの感染症が引き金になって起こることもあります。

この場合は、原因となった感染症を治療すれば治りますが、再発を繰り返すと尋常性乾癬に移行するケースもあります。

4.乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)

乾癬性紅皮症は、尋常性乾癬の皮膚症状が全身の9割以上に出て赤みを帯びた皮膚が細かい鱗屑(りんせつ)となってはがれ落ちる状態をいいます。

皮膚におけるトラブルだけではなく、寒気や発熱、倦怠感なども伴います。

乾癬のなかでも症状が重く、乾癬の治療が不十分だったときに発症するケースもあります。

5.膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)

膿疱性乾癬は、皮膚トラブルと同時に膿(うみ)の入った球状の袋(膿疱)が皮膚に現れる状態をいいます。

手のひらや足先などに症状が出ることが多いのですが、まれに汎発性膿疱性乾癬(はんぱつせいのうほうせいかんせん)という発熱を伴う症例もあります。

汎発性膿疱性乾癬は難病指定に認定されており、医療費助成が受けられるケースもあります。

1-3.女性より男性のほうが罹患しやすい

男性と女性

乾癬の男女比率は、2対1で男性のほうが多い傾向にあります。

発症しやすい年齢は、男性においては30代と60代、女性においては20代と50代が多いです。

ちなみに乾癬は日本人のみならず、世界中において症例のある病気です。

全人口における約1~5%の人に乾癬症状があるとされ、皮膚の薄い白色人種に多い傾向があるといわれています。

1-4.乾癬はうつる? 完治はできる?

乾癬が他人にうつることはありません。

乾癬は皮膚疾患であることから、他人と同じお風呂やプールに入ってはいけないのでは? と誤解する人もいます。

しかし、細菌やウイルスによる感染症ではないので、乾癬が水や空気を通じて他人にうつるということはありません。

また、乾癬は昔から完治が難しい病気といわれています。

しかし近年では薬の開発により、だいぶ症状をコントロールできるようになりました。

完全に治すのは難しいものの、治療を続けることにより長期間にわたって症状が現れないという人も増えています。

2.乾癬を引き起こす原因とは

乾癬がなぜ起きるのか、はっきりとした原因や悪化要因はまだわかっていません。

しかし、遺伝的な要因や免疫機能の異常が主な原因とされ、食生活や生活習慣の乱れも乾癬の悪化要因と考えられています。

2-1.免疫機能の異常

ウイルスと免疫機能

乾癬が起きる原因は、免疫機能の異常が大きく関与していると考えられています。

本来人が持つ免疫機能は、体に侵入してきた細菌やウイルスに対抗するために働いています。

しかし、免疫機能に何らかの異常が起きると過剰反応し、体内で炎症作用などを引き起こしてしまいます。

乾癬の皮膚トラブルも免疫反応が過剰に反応していると予想されます。

本来はカビや細菌に対して行われる防御機能が、自身の皮膚細胞を刺激してしまい、それにより赤みやかゆみが起きるのではないかと考えられています。

2-2.食生活など外的な要因

乾癬は食生活の乱れが悪化要因になるとも考えられています。

そもそも偏った食生活は、肌荒れに直結しやすいです。

脂っこい食事や偏った食事を続けていると肌トラブルを引き起こしやすいですが、それが乾癬を悪化させる恐れもあります。

またタバコや飲酒、寝不足続きの生活も要注意です。

このような肌に悪影響を与える習慣が続くと、それが引き金となって乾癬の症状が悪化する恐れもあります。

タバコ

2-3.高血圧など生活習慣の合併

乾癬はメタボリックシンドロームを合併するケースが多いです。

メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧や高血糖などが組み合わさり、脳卒中などを引き起こしやすい状態をいいます。

内臓脂肪の値が高く、メタボリックシンドロームに当てはまる方は、乾癬の重症度が高い傾向もあります。
乾癬と生活習慣病は双方向のリスクになると考えられています。

その他、感染症や薬剤がきっかけになることがあります。

3.乾癬の治療方法

乾癬の治療法は「外用薬」「紫外線照射」「内服または注射」といった3つの治療方法があります。
原因がはっきりしない疾患のため、根治療法というよりも、対症療法になります。

ここからは、それらの詳しい治療方法についてみていきましょう。

3-1.外用薬による治療

塗り薬

外用薬による治療は、乾癬に対する治療としてもっとも多く行われている方法です。

皮膚軟化剤などを使い、肌にうるおいを与えることで多くの乾癬は症状が緩和します。

主な外用薬は、ステロイド剤やビタミンD3外用薬が使われます。

そして、顔面などのデリケートな箇所には皮ふが傷つかないよう、外用薬の成分も配慮されます。

市販薬にも乾癬に効果のある外用薬はありますが、病院では患者や皮膚の状態に合わせて有効な薬を処方しています。
乾癬の場合は自己管理では改善が難しいため、乾癬を疑う難治な皮膚炎があれば、まずは医師に相談することが大切です。

3-2.紫外線照射

紫外線照射療法は光線療法とも呼ばれ、患部に紫外線を照射させる治療方法です。

多くの場合外用薬と併用した治療が行われます。

患部に薬を塗りこんだ後に光を照射し、肌のダメージを改善しつつ、乾癬の発症を抑える効果があります。

また乾癬によって皮膚に痕が残ってしまった場合は、エキシマレーザー療法という紫外線を照射する治療で、痕(あと)を薄くする方法もあります。

3-3.免疫抑制薬

免疫抑制薬は、内服薬や注射によって乾癬の症状を抑える治療方法です。

名前の通り、過剰な免疫反応を抑制する働きがあり、あえて体内の免疫機能を鈍らせることで乾癬の症状を抑える効果があります。

乾癬の状態により処方される薬には違いがあり、内服薬にするか注射にするかは、医師が判断します。

重症な乾癬にも効果が出ることが多いですが、免疫機能を低下させることから、感染症に掛かりやすくなるといったデメリットもあります。

副作用などでこれらが使えない場合、重症、難治性の場合に、生物学的製剤と言われる、新しい治療が登場しました。アダリムマブ(皮下注射)、インフリキシマブ(点滴注射)、ウステキヌマブ(皮下注射)などがあります。

4.乾癬の症状を悪化させないためにできること

クリニック イメージ

乾癬は自分の努力で完治できる病気ではありません。発症したら、医師の指導のもと、根気よく治療を続ける必要があります。

とはいえ、日常生活に気を付けていれば、乾癬の症状の悪化を防いだりすることは可能です。

乾癬に悩まされている方も、そうでない方も、日常生活においては以下のこと守り、自分の肌を守っていきましょう。

4-1.皮膚への刺激を避ける

乾癬は皮膚が刺激されると悪化しやすい傾向にあります。

できてしまったかさぶたを無理にはがすのはもちろんのこと、皮膚をこすったり、強い力でゴシゴシ体を洗うといった行為は避けましょう。

また、基礎化粧品やメイクをするときも、なるべく摩擦が掛からないケアが大切です。

たとえば、洗顔後は化粧水や乳液を何度も肌に塗るといった行為は摩擦が掛かります。

ワンステップで済むオールインワンタイプを使ったほうが、肌への摩擦刺激は少なく済みますが、ケースバイケースです。ご自身にあった方法で乾燥を抑えるようにしましょう。

スキンケアクリーム

4-2.正しい生活習慣を送る

乾癬を悪化させないためには、規則正しい生活習慣が大切です。

乾癬とメタボリックシンドロームは双方向の悪化要因になるとされていますので、まずは肥満を防ぎ、脂肪や糖質の多い食品をなるべく控えていきましょう。

喫煙やアルコールの多量摂取も乾癬の症状を悪化させます。

タバコはなるべく禁煙し、お酒は適度な量を守りましょう。

ストレスも乾癬と大きく関わっています。

まずは睡眠不足を防ぎ、質の良い睡眠を取れるよう心がけましょう。

そのうえで適度な運動を続けて好きな趣味を持つなどし、日頃からストレスをためない努力が大切です。

5.乾癬対策にも役立つ 正しい保湿ケアをしよう

スキンケアをする女性

乾癬対策で重要なことは、日頃から皮膚が乾燥しないよう、保湿することです。

乾癬は皮膚が乾燥すると症状が悪化することも多く、日頃から正しい保湿ケアを行うことが重要です。

保湿は、季節や状況によって、軟膏、クリーム、ゲルなどを使い分けると良いでしょう。
乾燥や炎症が強い箇所に、アルコール分を含むローションやゲルがしみる場合は、油分の多い軟膏やクリームに切り替えましょう。

角質の保湿力が高いセラミドが配合されているものもおすすめです。

また、顔の保湿には、オールインワンゲルを使うことで肌に触れる頻度を減らし、極端な摩擦も回避しやすくなります。

5-1.保湿成分はセラミドがおすすめ

保湿成分にはいろいろな種類がありますが、乾燥対策におすすめなのがセラミドです。

セラミドは細胞間脂質の一つであり、肌のキメを整えるためのバリア機能を正常に保つことに役立っています。

セラミドはもともと皮膚の内側に存在する成分です。

しかし、加齢とともに減少してしまい、セラミドが減ると弾力の低下や肌の乾燥を引き起こしてしまいます。
乾癬やアトピー性皮膚炎においては、角質層のセラミドが減少していることがわかっています。

外側からセラミドを補給することで、肌のうるおいをサポートし乾燥を防ぐ効果が期待できます。

また、セラミドは親水性なので水になじみやすい特徴があります。

セラミドが配合されたオールインワンなどのスキンケアを使うと、肌なじみが良く、肌に効果的にうるおいを与えます。

5-2.乾燥対策には「摩擦を減らすこと」も重要

乾癬や乾燥肌を悪化させる原因の一つに摩擦があります。

摩擦は強い力で皮膚をこするだけではなく、化粧水や乳液を重ねづけする際にも肌に摩擦が加わり、ダメージを与えています。

肌に負担をかけないためには、スキンケアステップを見直し、必要以上に肌にさわらないようにすることが大切です。

6.乾癬対策には正しい保湿ケアと規則正しい生活を

規則正しい生活 イメージ

乾癬が起こる原因はいまだはっきりしていません。

しかし、いまのところ遺伝的要因や、免疫機能の異常が主な原因だと考えられています。

そのため、いまは乾癬の症状が出ていない人でも、何らかのきっかけにより乾癬が発症するケースもありえるでしょう。

乾癬に罹患した場合、乾燥が大敵になりますので、保湿が重要です。

また、乾癬はストレスや肥満が原因で症状が悪化する恐れもある疾患です。

日頃から正しい保湿ケアと健康的な食生活を意識し、ストレスをためないよう心がけていきましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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