皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

自粛生活もようやく明けましたが、マスク着用やソーシャルディスタンスも続く上、これまでと違った慣れない生活スタイルに、ストレスな状況はまだまだ終わりませんね。

精神的にもうつうつとしてしまうなどの声もよく聞きます。

腸と脳は、双方向でコミュニケーションをしている「腸脳相関」というシステムが明らかになり、ストレスは腸にダメージを与え、その逆で、腸内環境が悪いとストレスも受けやすいということが分かってきました。

気分や脳の機能に影響を与える有用菌(プロバイオティクス)のことを、「サイコバイオティクス」と言い、研究が進んでいます。

長引くストレスから腸を守り、腸からストレスに強くなるには!?

1.ストレスと腸の相互関係

1-1.腸と脳は一つのネットワーク

下痢

ストレスがかかると胃が痛くなったり、下痢をしたり。
精神状態が消化器に影響することは、多くの人が経験していると思います。

胃腸は、元々自律神経のうち、リラックスする方の副交感神経によって支配されているので、ストレスがかかって交感神経モードになると、血流や働きが低下してしまいます。

その逆に、腸から脳へに作用するルートもあることが、解明されてきました。

腸内環境が乱れて炎症を起こすことが、精神に悪影響を起こしたり、腸内に生息する細菌の違いによって、抑うつなどの精神症状や記憶力の低下を引き起こすことも分かってきたのです。

これらは、もはや独立したふたつの臓器ではなく、ひとつのネットワークだと考えられています。これを「腸脳相関」と言います。

1-2.ストレスで腸内に悪玉菌が増える

ストレスは万病の元と言われますが、怒り、不安、恐怖の感情を伴う心理的ストレスは、腸内細菌にとってもダメージになることがわかっています。

ロシアの宇宙飛行士の研究によると、大きなストレスとなる宇宙飛行によって、宇宙飛行士の腸内細菌では、有用菌である乳酸菌の一種であるラクトバチルス属菌やビフィズス菌゙が減少し、増えすぎると病原性を発揮するエンテロバクター菌やウェルシュ菌が増加していたことが分かっています。

1-3.腸内細菌の乱れがストレスを悪化させる

落ち込む女性

その逆の方向として、腸内細菌の状態によって、メンタルや脳機能が変化することもわかっています。

腸は、常に外界と接している場所なので、外からの刺激をインプットする為に、びっしりと神経が張り巡らされている感度の高い臓器です。

そして、腸内細菌は、腸の周りの神経やホルモンなどを刺激することで、脳に情報を与え、内臓を動かすことをサポートしています。

腸内細菌のバランスによって、ストレスに対する反応性も変化します。

腸内細菌の多様性が低下し、アンバランスになっていることを「ディスバイオーシス」と言いますが、これによってストレス耐性が低下したり、抑うつ症状を引き起こすことなどが分かっています。

1-4.有用菌の低下とうつ病

最近の研究で、乳酸菌やビフィズス菌が少ない人はうつ病のリスクが高いことがわかっています。

日本人のうち、乳酸菌がゼロのタイプは、30%程度、ビフィズス菌がゼロのタイプも5%程度はいます(Cykinso調べ)。

私自身も、乳酸菌、ビフィズス菌がいずれも少ない、もしくはゼロの患者さんを診察した経験では、皆さん、神経が過敏で、不安になりやすい傾向でした。

また、腸内の有用菌である酪酸菌の分泌する酪酸には、抗うつ効果があることもわかっています。

酪酸には、脳機能に必要な脳由来神経栄養因子BDNFを増やしたり、脳の炎症を抑制したりする働きがあることがわかっており、これが、うつ病の抑制や脳機能改善に繋がっていると考えられています。

2.心に効く腸活「サイコバイオティクス」

サイコバイオティクス

気分や脳の機能に影響を与える有用菌(プロバイオティクス)のことを、「サイコバイオティクス」と言い、研究が進んでいます。

サイコバイオティクスは、GABAやセロトニンなどの神経伝達物質の分泌やストレスホルモン・コルチゾールを減らし、メンタルやストレス耐性に影響を与えます。

まだまだ研究途上ですが、ビフィズス菌や酪酸菌、そして腸内の多様性を改善することは、今日からでも取り組める「心に効く腸活」です。

2-1.多様性を増やすにはプレバイオティクス

たくさんの腸内細菌が協力しあっている多様性・ダイバーシティが保たれている環境は、「超健康」を保つための秘訣であることをお伝えしました。

https://wellmethod.jp/diversity/

腸内環境改善に最重要!若さと健康のカギは菌の「多様性(ダイバーシティ)」にあり【医師が解説】

多様性を保つために、最も大切なのは、多様な腸内細菌のエサであるプレバイオティクスをしっかり摂取することです。

植物の中に含まれる食物繊維などの多糖類やオリゴ糖などをしっかり食べることです。

2-1-1.食物繊維はもりもり食べる

食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい非水溶性食物繊維があります。
特に有用菌のエサになるのは、水溶性です。

水溶性食物繊維には、ヌルヌル系とサラサラ系があります。

代表食材は、ワカメ、昆布、寒天、海苔など、海藻のアルギン酸。リンゴやプルーンなどの果物に含まれるペクチン。こんにゃくのマンナン、ゴボウや菊芋などのイヌリン、またアボカドなどです。

非水溶性は、エサにはなりませんが、ふかふかの寝床になることで、腸内細菌を養います。非水溶性食物繊維を含む代表食材は、雑穀類、豆類、キノコ類、ゴボウやブロッコリーなどの野菜です。

水溶性・非水溶性食物繊維は、植物性の食品に含まれていますので、これらの食べ物は毎日もりもり食べるのが大正解です。

2-1-2.砂糖の代わりにオリゴ糖

みんなが大好きなスイーツに含まれる砂糖は、腸内の有用菌のエサにはなりません。
代わりに、カンジダ菌などの増え過ぎると病原性を発揮する菌のエサになります。
これを控えて、摂りたいのはオリゴ糖です。

オリゴ糖は、甘味を持ちながら、食物繊維のように小腸で消化されず、大腸まで届いて有用な菌のエサになる嬉しい甘味料です。

人のエネルギーにはなりにくいので、ダイエットにもなります。

オリゴ糖には様々な種類があり、シロップタイプや粉末タイプが販売されています。
中でもカスピ海ヨーグルトに含まれるラクトビオン酸は、若返り菌と呼ばれるエクオール産生菌のエクオール産生能を増やすこともわかっています。

我が家には、砂糖はなく、オリゴ糖が常備してあります。
優しい甘みで、クセがなく、料理にも使いやすいですよ。

2-2.有用菌を補うプロバイオティクス

不足している有用菌自体を補うには、プロバイオティクスです。

2-2-1.ビフィズス菌はヨーグルトかサプリから

ヨーグルト

ビフィズス菌は、ヨーグルト以外の食品にはまず含まれていません。

ヨーグルトにも、乳酸菌発酵とビフィズス菌発酵のタイプがありますので、ビフィズス菌発酵のものを選びましょう。

乳製品が摂りたくない場合は、生きたビフィズス菌を含むサプリメントで補う方法もありますね。

2-2-2.乳酸菌は多くの発酵食品から

キムチ

乳酸菌は、ヨーグルト以外にも、多くの発酵食品に含まれます。
特に、漬物に含まれる植物性乳酸菌は、胃酸にも強く、生きて腸まで届きやすいのでおすすめです。

昔の日本人は、漬物として少量ずつ毎日植物性の乳酸菌を摂取していたのですね。

キムチ、すぐき漬け、白菜漬け、たくあん漬け、ぬか漬け、ザワークラウトなどいろいろな漬物に含まれています。

2-2-3.酪酸菌を摂れる食品は臭い!

酪酸菌の発生させる酪酸は、とっても臭いので、発酵食品では、「臭豆腐」のようにかなり勇気のいる「臭い」発酵食品にしか含まれていません。

でも、酪酸菌は、誰のお腹にでも定着している有用菌なので、腸内で増やせば問題ありません。

エサである食物繊維などの多糖類の摂取が少ないと弱ってしまい、プレバイオティクスをしっかり摂取して勢力を回復させましょう。

3.腸内フローラ検査で自分を知る

花畑

自分自身にこれらの腸内細菌が定着しているかどうかは、腸内フローラ検査で確認してみましょう。

私自身も、腸内フローラ検査をすると、定着している乳酸菌がほとんどおらず、ビフィズス菌も少ないタイプです。
そのためか、ストレスに弱く、どちらかというとうつうつとしがちです。

全結果は、こちらで公開しています。

https://wellmethod.jp/gut-diversity/team.html

普段の食生活は食物繊維たっぷりなのですが、子供の頃に原因があると考えています。
自分に定着する常在細菌は6歳ごろまでに決まります。

私の場合は、ビフィズス菌を増やすのに重要な母乳で育たず、また、中耳炎になりやすかったため、抗生物質をよく飲んでいたことなどで、乳酸菌やビフィズス菌が十分に定着していないのだと考えています。

腸内フローラ検査の結果を踏まえて、乳酸菌やビフィズス菌を毎日摂るようにしています。

ストレスにやられやすい、抑うつや不安になりやすいなど、気になることがあれば、腸内を探ってみてはいかがでしょうか?

解決の道が見えるかも知れませんよ。

https://wellmethod.jp/mykinso/

腸内フローラ検査を医師が完全解説|自分にあった腸活とは?

【参照】
※腸内細菌学雑誌 19 : p25–29,2005
※Journal of Affective Disorders 202:p254-257 15,Sep,2016

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詳しくは→ https://wellmethod.jp/present/