梅雨は頭痛が多発! 気圧や湿気が原因で起こる不調を未然に防ぐ日頃の対策
こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。
もうすぐ梅雨がやってくる、そう考えると一気に気持ちが沈む人もいるのではないでしょうか。
今年は例年よりも早く、西日本ではすでに梅雨入りをしました。
梅雨の時期は湿度が高くてムシムシし、食品がカビやすくなるといったトラブルも起きます。
そして、そのような空気に影響されるよう、梅雨の時期に頭痛を起こしてしまう人も多いです。
実は筆者もその一人であり、毎年梅雨の時期がやってくると、今年も片頭痛が起こる季節がやってきたと感じ、落ち込んでしまいます。
梅雨に起きる頭痛は気圧の変化が原因と聞きますが、どのような因果関係があるのでしょうか。
今回は梅雨の時期に起きる頭痛の原因や、その対処方法について詳しく紹介します。
目次
1.毎年梅雨になると頭痛が起きる
季節の変わり目になると古傷が傷む、梅雨になると頭痛がはじまるなど、気象条件によって体調に変化を起こす人は多いようです。
とくに梅雨になると片頭痛が起きるといった声は多く、気圧の変化によって頭痛を起こす人がいます。
1-1.ズキンズキンとした痛みが多い
梅雨の時期に起きる頭痛は、ズキンズキンとこめかみがうずくような痛みが多いことが特徴です。
この他にもめまいを伴う頭痛や、頭がガンガンと響いて痛む症例などがあり、なかには耳鳴りや関節が傷むといった症状もあります。
これらの症状は梅雨をはじめとした天気や気圧の変化によって起こることが多く「気象病」ともいわれています。
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1-2.梅雨の時期に起きる頭痛は主に2種類
頭痛は、首や肩周りの緊張やこわばりが原因で起こるものや、自律神経や月経などのホルモンバランスが原因で起こるものなど、さまざまな原因が考えられ、それぞれ痛みの特徴や原因も異なります。
ここでは、梅雨の時期に起こりやすい2つの頭痛の特徴について見ていきましょう。
1.緊張性頭痛
緊張性頭痛は、首や肩周りの筋肉の緊張が原因で起きる頭痛です。
首や肩回りがこわばることにより頭皮が突っ張り、頭痛が起きると考えられます。
緊張性頭痛は梅雨の時期に限った症例ではなく、パソコン作業や長時間同じ姿勢で作業を続けることなどによる筋肉の緊張による血流低下によって発症するので、運動やストレッチなどで改善する方法もあります。
東洋医学的には、梅雨時には、湿気の影響で筋肉や筋膜に血液がよどみ、これを瘀血(おけつ)といいます。筋肉や筋膜にこれらが蓄積することで、老廃物の排泄も悪くなり、だるい・重いなどの症状が現れます。
※瘀血(おけつ)とは…血の巡りが悪くなり、滞った状態を示します。原因としては疲労や精神的ストレスの蓄積などが考えられています。
2.片頭痛
梅雨時には、片頭痛も起こりやすくなります。
片頭痛持ちの半数は、梅雨時に症状が悪化しやすいとされています。
片頭痛は、とくにガンガン、ズキンズキンなど激しく脈打つ痛みが特徴です。
心臓の鼓動に合わせて、脈打ちます。
何かをしようと体を動かすと症状がひどくなり、寝込んでしまうこともあります。
また、片頭痛が起こる前にキラキラした光や視野が一部欠ける、チクチク感や感覚がにぶるなど、視覚や感覚症状になんらかの前兆が起こり、症状が現れるケースもあります。
2.なぜ梅雨になると頭痛が起きるのか
そもそもなぜ梅雨の時期になると頭痛が起きてしまうのでしょうか。
それは主に2つの理由があります。
1つ目は気圧による影響と、2つ目は梅雨の時期特有の湿気が、体に悪影響を与えていると考えられています。
まずはこれらの理由について詳しく見ていきましょう。
2-1.気圧との関係
普段私たちは、気圧の重さは全く感じていませんが、常に重力だけでなく空気の重さによる圧力も体に受けています。
おおよそ、体表面積1㎡辺り、10トン程度とされています。
体が押しつぶされないのは、体の内側からも同じ程度の圧力を押し返しているためなのですが、常にトン単位の力が拮抗しあっている体は気が付かないうちにストレスを感じています。
さらに梅雨時には気圧の変動が激しく、体もなんとかバランスを取ろうとしますが、この調整がうまくいかなかい場合や気圧の変化に敏感な場合、頭痛などの症状があらわれます。
気圧の変化は、耳の奥の「内耳」で感知します。
内耳には、三半規管という平衡感覚を司る器官があり、ここから来た信号と視覚から得た情報や手足などの体の動きを脳で統合し、処理しています。
内耳は、気圧の変化を感知して脳に信号を送り、環境に応じて自律神経を通して体の動きを調整します。
しかし内耳の機能が低下していると脳への信号がうまく伝わらず、環境への適応がうまくいきません。
また、信号がうまく伝わったとしても、自律神経が乱れている場合にも同様に適応が難しくなります。
さらに気圧が下がると、内耳から脳に気圧の変化を信号で送っても、視覚的には「異常なし」と捉えられると、信号にズレが生じます。
すると、内耳からの情報と視覚からの情報がうまく処理できず、めまいや頭痛が起き、自律神経が乱れるというメカニズムです。
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2-2.雨による湿気も頭痛の原因に
梅雨は食品や部屋の中がカビやすくなりますが、私たちの体にも似たような影響が及びます。
中医学では雨などによる過剰な湿気を「湿邪(しつじゃ)」といい、梅雨の時期は体内に必要以上の水分が溜まる時期であると懸念されています。
余分な水分が体に溜まると、むくみや頭痛、めまいなどが引き起こされる要因となり、中医学ではこれを「水毒(すいどく)」と呼んでいます。
また体内に必要以上の水分が溜まると血液の流れが悪い状態となり、酸素を運ぶ能力が低下して、頭がなんとなく重いといった症状が引き起こされます。
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2-3.女性はとくに発症しやすい
梅雨時の頭痛は、年齢や性別に関係なく起こるとされています。
しかし男性よりも女性の方が頭痛に悩まされる傾向はやや高いです。
女性の場合、ホルモンバランスの変化に対応するため自律神経が常に働いています。
例えば月経のある女性の場合、排卵から月経にいたるまでの約1か月の間、ホルモンバランスは顕著に変化し、自律神経の動きも活発になります。
その上で梅雨といった気象の変化が加わると、自律神経の働きはさらに過剰になり、頭痛をが起こりやすくなります。
また更年期の女性も、ホルモンバランスが乱れることで自律神経のバランスが崩れやすくなりやすくなり、頭痛に繋がりやすくなります。
こうしたことから、女性はとくに梅雨の時期に頭痛が起こりやすいといわれています。
3.梅雨に起きる頭痛の対処方法
ここでは、2章で前述した梅雨時に起こる頭痛の対処法をご紹介します。
内耳機能の改善と自律神経の調整が改善法が主な対処法で、また、体の中に「湿」を溜め込まないように普段から汗をかきやすい体づくりをすることも大切です。
3-1.内耳機能の改善
内耳の血流低下は、機能低下に繋がります。
肩や首の血流が悪いと内耳の血流低下にも繋がり頭痛を引き起こしやすくなりますので、ストレッチやマッサージ、入浴などでしっかりと筋肉をほぐし、血流を改善しましょう。
1.血流低下改善の運動
内耳の血流低下の改善におすすめなのは「耳マッサージ」です。
両耳タブを手で掴み、ぐいっと床と平行に10秒ほど引っ張り離し、1セット5回、1日3回ほど行いましょう。
また、三半規管を鍛えることも重要です。
つらい時には無理は禁物ですが、体調が良い時には三半規管を鍛えるために、でんぐり返しや鉄棒を行うことおすすめします。
めまい症や乗り物酔いの予防も期待ができます。
3-2.自律神経を整える
自律神経を整えることも有効です。
自律神経は、活動する昼間は交感神経モードに、夜間はリラックスする副交感神経モードに切り替わるというリズムがあるのですが、このリズムが崩れることで体調不良を招きやすくなります。
自律神経を整えるには、睡眠のリズムを整え、体内時計を乱さないことが大切です。
朝しっかりと起き、カーテンを開けて明るい日差しを浴びて交感神経モードに、日が暮れたら副交感神経に切り替えたいため、交感神経を刺激するスマホはPCなどのブルーライトを浴びないようにしましょう。
また朝は、熱いシャワーを浴びることで交感神経のスイッチを押すことができます。
逆に夜は40度程度のゆるめのお湯にゆっくり浸かり、副交感神経モードに切り替えましょう。
良質な睡眠をとるためには少し内臓の温度が冷えることが大切なので、睡眠の1時間ほど前までに入浴を済ませるようにしましょう。
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3-3.夜は血糖値が上がる糖質には注意
夕食に血糖値が上がりやすい炭水化物や砂糖が入った甘いものを食べることで血糖値が上がると、睡眠時に分泌される成長ホルモンが上手く分泌されず、睡眠の質が悪くなります。
高血糖の後にはインスリン分泌が過剰に刺激され、低血糖を招く可能性があり、夜間に低血糖になると交感神経が刺激され、睡眠が浅くなるなどのほか、途中で覚醒してしまいます。
熟睡するためには、入眠の3〜4時間前までには食事を終えるようにしましょう。
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3-4.運動をして汗をかきやすい体を作っておく
梅雨における頭痛は、中医学では体に余分な水分が溜まる「水毒」が原因とされています。
そのため、普段から体に余分な水分を溜め込まないようにしておけば、梅雨の時期がきても頭痛が起きにくくなります。
余計な水分を体に溜めないためには、運動習慣を身につけて汗をかくことが大切です。
普段からウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をして、じわっと汗をかく生活を送りましょう。
激しい運動ではなく、普段より大股で早歩きをしながら買い物に行って汗をかく程度でも十分です。
適度な運動習慣は気象変化というストレスにも対応しやすくなるので、日頃から体を動かすことが大切です。
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3-5.薬を長期使用する場合は必ず医師に相談を
頭痛が辛くて何もする気がおきない、そんなときは鎮痛剤を使う方法もあります。
頭痛薬の利用は、たまに起きる頭痛において使用し、痛みが治まるといったケースならとくに問題はないでしょう。
(しかし、この場合も頭痛の原因をしっかりと改善しましょう)
しかし、梅雨の時期になると毎日のように頭痛薬を飲む、といった状況は良くありません。
薬剤の長期使用や使用過多は、慢性的な頭痛や耳鳴り(脳過敏症候群)を引き起こすリスクもあります。
長期間薬を飲み続けないと日常生活が送れない、そのような重い頭痛は、一度「頭痛外来」をはじめとした病院を受診することがおすすめです。
専門医に診てもらうことで、頭痛の原因が気圧以外にも判明することがあります。
片頭痛の場合は、片頭痛専用の治療薬が必要になるケースもありますし、ひどい頭痛を放置して、実は脳腫瘍だったというケースも珍しくはありません。
3-6.あらかじめ天気を予測して行動する
日々気圧の変化が激しい梅雨時の頭痛を防ぐには、あらかじめその日の気圧を予想した行動をとることが大切です。
WELLMETHOD監修医の桐村里紗先生は、気象予報士が開発した管理アプリ「頭痛ーる」をおすすめしています。
https://zutool.jp/about
「頭痛ーる」
アプリを使うことで、あらかじめその日の予定は無理をしない、薬を用意しておくなどの対策ができます。
また、いつ頭痛がひどくなったのか、天気と共に日記などに記帳するのもおすすめです。
それにより自分の頭痛はいつ頃ひどくなるのかを今後から予想しやすくなり、頭痛が起きやすい時期の生活リズムもつかみやすくなるでしょう。
予測アプリや日記をつけることで頭痛の予測ができ、具体的な対策も立てやすくなります。
4.梅雨の頭痛は一過性。無理をしないことが大切
梅雨に起きる頭痛は、その人の症例によるものの、多くは1~2カ月で治まることが多いです。
またこの季節がやってきた…と憂鬱になることもありますが、「この頭痛は天気予報」として割り切ることも大切です。
頭痛を恐れビクビクして過ごすことは、ストレスが溜まり、余計頭痛が悪化するケースもあります。
またあまりにも辛い頭痛は、薬を服用して対応しても良いでしょう。
ただ、薬を飲んでも症状が治まらなかったり、飲み続けなくては日常生活が送れなかったりする場合は、根本的な原因を解決する必要がありますし、場合によっては他の原因が隠されている可能性もあります。
そのような場合は医療機関を受診し、気圧の変化以外にも頭痛の原因がないのか、しっかりと確かめましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
- tenrai株式会社
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか