ガサガサ唇荒れを本気で治す!マスクや乾燥ダメージを3日で解決する方法
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。
慢性的なガサガサ唇に悩む皆さん、そろそろ本気で治してみませんか?
今年は、マスク着用によって擦れや乾燥ダメージを受けて余計に唇荒れが起こりやすく、悩む人が増えているはずです。
私自身も幼少期からずっと唇が荒れやすく、唇荒れ歴かれこれ40年に届きそうです。
刺激を受けやすい唇は、一度荒れるとなかなか治らないものです。
人生のほとんどをガサガサの唇で過ごしてきた私が、本気で治すスペシャルケアをシェアしたいと思います。
皮膚科時代にもたくさんの患者さんに指導してきたとてもシンプルで効果的な方法をお伝えします。
目次
1. ガサガサ唇荒れ、とにかく治らないのはなぜ?
唇荒れの問題点は、とにかく他の肌荒れより治りにくいところです。
なぜか?
それは、元々デリケートな構造の唇が、毎日何回も食べものや唾液などで刺激を受け続けるからです。
1-1. 唇は毎日刺激にさらされている
唇が刺激を受ける主な理由は、以下です。
・無意識に舐めている
・飲み物の水分が付着する
・醤油や果汁など刺激になるものが付着する
・口紅をつける
・紫外線
・マスク着用
1-2. 唇の舐めぐせ
唇が荒れやすい人の癖として、無意識に唇を舐めてしまうというものがあります。
口紅を塗っても舐めてしまうのですぐに取れてしまう人は、要注意。
小さい頃からの舐め癖があるかも知れません。
唾液が付着するとその瞬間は潤いますが、水分と同じく蒸発する際に唇の粘膜の水分も奪ってしまうので乾燥を悪化させます。
飲み物の水分も付着しやすく、これも乾く際に乾燥させやすい。
1-3. 食べ物による刺激を常に受ける
また、食べ物やソース、汁、刺激物なども食事によって付着しやすいですが、これらは塩分や酸などが刺激になります。
皮膚と違い、角層などに守られていない剥き出しの粘膜が唇ですから、元々刺激に弱い上、乾燥した状態であればもっと。
どんなに気をつけても、唇に何も付着させずに食べることは本当に難しく、それをまた舐めたりするので、厄介です。
1-4. 口紅による刺激
口紅などの化粧品も、唇のデリケートな人にとっては刺激になります。
私も、「落ちない!」を謳った口紅を使ってしまい、一気に唇が荒れたことがあります。
普段から、刺激の少ない口紅でないと使えません。
唇が荒れている際には、いずれの口紅であっても一旦は使用を控え、唇が再生するまで我慢してください。
1-5. 紫外線ダメージを受けやすい
それに、紫外線も刺激になります。顔の皮膚には日焼け止めを塗っても唇にまでは塗らない人も多いと思います。唇には紫外線から守るメラニン色素もないため、ダイレクトに紫外線のダメージを受けやすくなります。
とにかく、唇が一度荒れてしまうと、こんな理由でも極めて治りにくいので、とにかくまずは荒れさせないことが第一条件なのです。
1-6. マスクが唇の乾燥や荒れを悪化させる
でも、マスク着用が社会のルール化している時代には、唇が極めて荒れやすく、唇荒れに悩む人が増えているようです。
マスク内は呼吸に含まれる水分で蒸れるので、潤いそうな気もしますが、実はその逆。
マスクを外した際に水分が蒸発し、この時に皮膚や粘膜の水分も奪われてしまい乾燥が悪化します。
さらに、マスクによる擦れで唇の粘膜は常に刺激を受けます。
摩擦のおきやすい不織布などで擦れ続けるのですから、デリケートな唇にとってはたまらない状況ですね。
2. 唇の構造はとにかくデリケート
唇は、皮膚が持っている外的な刺激に対する防御機能が弱い状態です。
皮膚の防御機能としては、
・皮脂膜
皮脂と汗を乳液化して作られる
・角質
天然保湿因子やセラミドなどの細胞間脂質
皮脂膜が皮膚の外側を覆い、皮膚の一番外側では、天然保湿因子やセラミドなどの細胞間脂質によってしっかりと水分を保持した角質があり、外的な刺激から皮膚を守っています。
唇は、皮脂腺や汗腺がないため、皮脂膜に覆われていません。
ですから、自分で潤いベールを作れないのです。
その上、角層が通常の皮膚よりも薄いため、刺激を受けやすいのです。
3. でも朗報!3〜4日の短期決戦で再生可能
でも、ここで朗報です。
唇は、通常の皮膚よりもターンオーバーがとても早いのです。
通常の皮膚は約28日で、しっかり再生するには1ヶ月ほどかかります。
ところが、常に刺激を受ける場所である唇は、ターンオーバーのサイクルがなんと3〜4日。
ですから、短期集中で、この間にしっかりとケアすれば、完璧に再生させることも可能です。
4. 本気で唇荒れを再生する
とにかく保護に尽きる!
一に保護、二に保護、三四がなくて、五に保護。
と言っても良いくらい、唇荒れを再生するには、外的刺激からの保護に尽きます。
常に刺激を受ける唇を保護し、内側からの再生をジャマせずに待つことです。
4-1. 常に軟膏をテカテカに
保護のためには、ワセリンやシアバターなどオイル100%の軟膏タイプの保湿剤を常に厚めに塗ることです。
最も刺激がない油性の成分で蓋をすることで、水性のソースや汁気のものなどの唇への接触を防ぐことができます。
そして、食べ物などが付着したらすぐに水で洗って、また軟膏を塗り直して、常にテカテカにしておくことです。
おすすめとしては、最もべったりとした軟膏タイプです。
薬局で購入するなら、白色ワセリン(プロペト)。
血流を改善し皮膚、粘膜を再生する働きのあるビタミンEやビタミンAが配合された軟膏もおすすめです。
ナチュラルなものとしては、100%のシアバターやミツロウ、昔ながらの馬油などが、刺激がなくておすすめです。
4-2. 刺激性の成分を避ける
100%のオイル以外は、刺激になる成分が含まれている可能性があります。
メントールや香料はもちろん刺激になりますが、天然のハーブ類の精油も荒れた唇には刺激になる可能性が十分にあります。
原材料表示を見てとにかくシンプルなものを選ぶこと。
4-3. リップクリームよりリップバーム
唇の乾燥予防には、低刺激で無香料のリップクリームも良いのですが、薄付きになるので本格的にガサガサになった唇に対しては不足かも知れません。
リップバームの方が油分が多く保湿力に優れる上にたっぷり使えるのでおすすめです。
4-4. 紫外線を防ぐにはマスクが良い
シンプルな配合の軟膏には、日焼け止め成分も含まれていません。
逆に、荒れた唇には負担になる可能性がありますから、集中決戦期間は、日焼け止め成分が入ったもの使用も控える方がベターです。
そのため、物理的にマスクで紫外線をブロックする必要があります。
マスクの布も、不織布のように折がランダムなものは刺激になりやすいため、摩擦の少ないガーゼタイプや柔らかく滑りの良い布を使用したマスクなどを選びましょう。
唇にマスクが付着しない立体タイプも良いですね。
5. 夜にはスペシャルケアを
1日1回、食事や洗顔、歯磨きなどを全て終えた状態で、唇のスペシャルケアをします。
スペシャルとは言っても、特に面倒な手間はありません。お風呂上がりに蒸気で潤った唇をすぐさま保湿剤で塞いでパックします。
1)お風呂上がりにすぐに唇に保湿剤をたっぷり塗る
2)ラップで覆う
3)30分ほど放置する
4)ラップを外したら、さらに追い保湿剤をたっぷり塗り、就寝。
5-1. 用意する保湿剤
用意するのは、前述のオイル100%の軟膏でも十分です。
私自身のおすすめは、ソフトカプセルタイプのビタミンEのサプリメントを用意すること。
ソフトカプセルに針などに穴を開けて中の高濃度にビタミンEが配合されたオイルを使用します。
圧倒的に潤いますので、おすすめの方法です。この場合も、ステップ4)で就寝前に塗る保湿剤は、軟膏タイプのものをべったりと塗る方がおすすめです。
https://wellmethod.jp/measures-against-dryness/
5-2. 荒れた唇には不向きなもの
「唇専用パック」は、色々な成分が配合されているので、荒れてしまった唇には不向き。
よく使われるハチミツも、天然成分を複数含む上に甘みがあるので、刺激になったり舐めてしまったりする可能性を考えるとここでは控えましょう。
6. 3〜4日だけは食べ物も唇ケア重視で
集中ケアのためには、普段の食べ物、飲み物による刺激を極力防ぐことも必要です。
3〜4日だけ、食事も唇に刺激を与えない内容にしましょう。
6-1. 避けるべきもの
・汁物・スープ類など液体の多いもの
・醤油などをつけて食べるもの
・香辛料を含む食べ物
・果汁を含むもの
これらは、唇に付着して刺激になりやすいので、避けましょう。
6-2. 選ぶならこんな食べもの
唇につきにくい食べ物は、パクッと口に放り込めるもので、水分が垂れないものです。
前歯で噛み切る必要があるものは、噛み切る際に唇に付着するので、細かく刻み、一口で食べられるようにしましょう。
逆に細かすぎるとボロボロとこぼれて唇に付着する可能性があるので、適度なかたまりになっていた方が良いですね。
例えば、卵料理の場合。
NG→卵かけご飯:卵や醤油が付きやすい
△→スクランブルエッグ・トロトロのオムレツ:落ちて唇に付着しやすい
OK→しっかり固まったオムレツ(ソースやケチャップなしで!)・茹で卵(一口大に)
こんなイメージです。
工夫次第で、唇への刺激を極力減らしたいのです。
ずっと続けるのは面倒ですが、3〜4日ならやっていけるのではないでしょうか?
7. とにかく舐めない皮をむかない
ガサガサの皮を剥きたくなる衝動や、舐めたくなったりする自分の無意識のクセにしっかりと睨みを利かせることも重要です。
特に皮を剥いてしまうと、せっかく内側から再生しようとしている唇の構造を自ら破壊してしまうことになります。
衝動やクセは、しっかりと自覚し、自分の意志の力でしっかりと止めることが必要です。
短期決戦は、とにかく唇に意識を集中してください!
8. 難治な場合は皮膚科で相談を
この方法でも難治な場合は、痒みを伴い湿疹があるタイプやカビの感染を伴うタイプなどです。
この場合は、原因によって対処法が違うため、一時的に皮膚科にかからなければ元に戻らない可能性もあるため、相談してみましょう。
私自身も頑固な唇荒れに悩み続けてきました。
色々な方法を試しましたが、自然な唇の再生力を取り戻すには、とにかく保護に尽きるというのが結論です。
短期決戦で結果は出ますので、ぜひ試してみてくださいね。
この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
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著作・監修一覧
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- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか