こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

みなさまは、シェーグレン症候群という病気をご存じでしょうか。

このシェーグレン症候群とは、女性に多いとされる病気で、自分の体を守るはずの免疫システムが、誤って自分自身を攻撃してしまう病気の一種です。

女性の中でも40~60歳代で発症しやすく、他人事ではない病気でもあります。

「目がしばしば、ゴロゴロする」
「口の中が常に渇く」
「口がベタベタして口臭が気になる」

など、実はシェーグレン症候群に関係しているかもしれません。

そんなシェーグレン症候群について、今回は症状やセルフチェックできる方法についてご紹介します。

1.シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群とは、涙や唾液を作り出している涙腺や唾液腺をはじめとする全身の外分泌腺に慢性的な炎症が起こる、自己免疫疾患の一つです。

シェーグレン症候群では、唾液腺や涙腺の働きが低下し、唾液や涙がでにくくなることでドライアイや、ドライマウスなどの乾燥症状が現れます。

全国での患者数は平成29年では約32,000人(厚生労働省政策統括官、平成29年患者調査)とされ、男女比は、1:17で女性に多いとされています。

発症年齢は50歳代がピークですが、子どもから高齢の人まで幅広い年齢で発症します。

参考)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/dl/h29syobyo.pdf

1-1.他の膠原病と合併して発症することもある

シェーグレン症候群が単独で発症するケースと、他の膠原病の合併症として引き起こされるケースがあります。

合併症で起こりやすい膠原病には、関節リウマチ、SLE(全身性エリテマトーテス)、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎などがあります。

▼早期診断が大切! ゆらぎ世代に多い「関節リウマチ」の治療法と更年期の関節症状

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1-2.シェーグレン症候群の経過

シェーグレン症候群の経過は、命にかかわるような重篤例になるケースは少なく、一般的に安定した経過をたどります。

一方で、その原因は明らかにされていないため、長期的にこの病気と上手く付き合っていかなくてはなりません。

とくになかなか一般の人に理解されにくい病気のため、つらい思いをひとりで抱えている人も少なくありません。

また経過中に、麻痺やしびれなどの末梢神経障害や間質性肺炎、間質性膀胱炎など発症するケースもあるため、定期的に観察することが大切です。

2.シェーグレン症候群の原因

シェーグレン症候群 自己免疫疾患

シェーグレン症候群は、自己免疫性疾患です。

本来、体の免疫系は、外部から侵入する細菌やウイルスなどに対して攻撃し、体を守るために働きます。

しかし、シェーグレン症候群では、なんらかの原因により、自己抗体(自己抗原に対する抗体)や自己反応性リンパ球(自己抗原に反応するリンパ球)が出現し、自分で自分を攻撃してしまうシステムが作られています。

この自己免疫が作られてしまう原因については、遺伝的な要因、ウイルスなどの環境要因、女性ホルモンとの関係性などの多くの要因が複雑に組み合わさり発症すると考えられていますが、まだはっきりとした原因は解明されていません。

3.シェーグレン症候群の症状

シェーグレン症候群の症状は、非常にさまざまで個人差が大きいことが特徴です。

主に、涙や唾液が出ないドライアイやドライマウスといった乾燥症状があります。

さらに個人差がありますが、全身症状がみられることもあります。

3-1.ドライアイ・ドライマウス

シェーグレン症候群 ドライマウス

シェーグレン症候群では、唾液腺や涙腺の働きが低下し、唾液や涙がでにくくなることでドライアイやドライマウスといった乾燥した症状が現れます。

・ドライアイ…口が渇く、口の中がベタベタする、唾液が出ない
・ドライマウス…目が乾く、涙が出ない

ドライアイが重度の場合は、目に入った異物を洗い流すことができず、角膜など目の表面に傷がつき、視力の低下を引き起こすことがあります。

ドライマウスは、唾液が少なくなるため、虫歯が増えたりや歯周病が起こりやすくなり、口臭が発生しやすくなります。

ドライアイ、ドライマウス以外にも鼻の乾燥症状や性交痛など、全身の粘液が分泌される外分泌腺に関連した症状があります。

3-2.その他の全身症状など

シェーグレン症候群は、ドライアイやドライマウス以外にも全身にわたり症状が出ることがあり、その症状は個人差があります。

代表的な症状としては、

・皮膚がカサカサと乾燥する
・関節が痛む
・鼻が乾く
・疲れやすくなる

また、臓器に様々な障害や合併症が全身にみられるケースもあります。

・甲状腺(甲状腺腫、慢性甲状腺炎)
・呼吸器症状(間質性肺炎、慢性気管支炎、嗄声など)
・肝症状(原発性胆汁性肝硬変症、自己免疫性肝炎)
・消化管症状(胃炎)
・腎症状(遠位尿細管性アシドーシス、低カリウム血症による四肢麻痺、腎石灰化症)
・皮膚症状(環状紅斑、下肢の網状皮斑や紫斑)
・血管症状(レイノー現象・血管炎)
・筋肉(筋炎)
・神経系(末梢神経炎)
・リンパ系(悪性リンパ腫)など

4.シェーグレン症候群のセルフチェック方法

唾液や涙の役割は、表面をうるおすだけではありません。

唾液は、会話をスムーズにする、味覚を助ける、口の中を清潔に保つなどの働きがあります。

涙は、ほこりやごみを洗い流す、細菌感染から目を守り、目の動きをスムーズにする役割があります。

つまり、唾液や涙の分泌の低下は、日常生活にさまざまな影響を及ぼします。

以下のものは、ドライマウスやドライアイによくみられる症状です。心当たりがないか、チェックしてみましょう。

もしも気になる点があれば、症状を我慢せずに医師に相談しましょう。

4-1.ドライマウス

1.自覚症状

・口が乾く
・口がねばつく
・口を潤す目的で水をよく飲むようになった
・話しづらい
・食事がしづらい
・食事がおいしくない、味覚が変化した
・舌が痛い、ヒリヒリする
・口臭が気になる
・寝ていると口がカラカラに乾く
・入れ歯が合わなくなる
・入れ歯で口の中が傷つきやすい
・虫歯や歯周病になりやすい、悪化した

2.他覚症状

・明らかに口の中が乾燥している
・唾液腺から唾液が流出しない
・唾液が泡状になったり、ねばつきがある
・舌表面の乳頭が消失し、つるっとしている
・舌表面がひび割れている
・口腔内カンジダ症を繰り返す

▼女性に多いドライマウス。原因と自分でできる対処法

https://wellmethod.jp/dry-mouth/

4-2.ドライアイ

シェーグレン症候群 ドライアイ

・目が乾いた感じになる
・目ヤニがでる
・目が重たい感じがする
・目がゴロゴロとする
・目に不快感がある
・視界がかすむ
・目がかゆい
・目が痛い
・光をまぶしく感じる
・目が充血しやすい
・まばたきをせず10秒以上目を開けていられない
・涙がよくでる

▼つらい目の渇き…「ドライアイ」の治療法と8つの予防法

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5.シェーグレン症候群の検査

シェーグレン症候群の診断には、血液検査をはじめ唾液の分泌量、涙の分泌量などのいくつかの検査があり、これらの結果を用いて診断を行います。

5-1.血液検査

血液検査では、シェーグレン症候群に特有な「免疫異常の原因となる抗体(抗SS-A抗体もしくは抗SS-B抗体)」の有無を確認します。その他、免疫グロブリン、抗核抗体、リウマトイド因子など、免疫に関わる検査を含む血液検査を行います。

また、甲状腺の自己免疫疾患を引き起こすこともあるので、一緒に甲状腺機能に異常がないか、抗体がないかを確認をします。

5-2.口の検査

ガムやガーゼをかんで、唾液の分泌量を測定するガムテスト、サクソンテストを行います。また、造影剤を注入して、唾液腺の働きを確認します。

ガム

5-3.目の検査

ドライアイの状態を確認するために涙液分泌量を測定したり、目の表面に傷がついていないかなど、目の状態を確認します。

6.シェーグレン症候群の治療

シェーグレン症候群の根本的な治療法は、まだ確立されていません。

そのため、シェーグレン症候群でみられる目や口の乾燥症状を軽減させ、今の生活に影響を及ぼさないようにケアすることが大切です。

6-1.ドライアイの治療

目薬

ドライアイを防ぐ方法として、涙の量を増やす・涙を補充する・涙の蒸発を防ぐ・涙の流出を抑えるなどさまざまな角度からアプローチする方法があります。

涙の量を増やすためには、涙の状態を良くすることが大切です。

これまでは、人工涙液などの点眼薬の使用が主流でしたが、近年では、目の中から水分やムチンの分泌を促す「体の中から治す」ドライアイ治療薬が出てきました。

これらの登場により、それぞれのドライアイの涙のタイプに合った目薬を使い分けて治療をしていきます。

市販の目薬もありますが、かえって病状を悪化させてしまうことがありますので、必ず眼科医に相談しましょう。

また、涙の蒸発を防ぐためには、眼鏡の枠にビニール製のカバーがついたドライアイ用の眼鏡(モイスチャー・エイド)を使用しましょう。

涙の流出を抑える方法として、涙の排水口である涙点を閉じることで、目の表面の涙を保つ手術があります。

上下の涙点にシリコン製の小さなプラグを差し込む方法や、涙点を縫い合わせる涙点閉鎖術があります。

6-2.ドライマウスの治療

シェーグレン症候群では、口の中が乾燥し、虫歯になりやすいため、口腔内は常に清潔を保つことが大切です。

・唾液の分泌を促進する
・唾液を補充する
・虫歯予防や口腔内の真菌(カビ)感染を予防する
・口腔内環境を改善する

などがあります。

唾液の分泌を増やすためには、人工唾液が治療に用いられます。

この他にも、口腔用湿潤剤などが使われます。

唾液を分泌する薬剤として、ピロカルピン塩酸錠、セビメリン塩酸塩錠、ある種の去痰薬(ブロムヘキシン)、漢方薬(麦門冬湯、百虎加人参湯)にも効果が期待できるといわれています。

ほか、自分でもできるドライマウスの対処法についてはこちらで詳しく紹介しています。

▼女性に多いドライマウス。原因と自分でできる対処法

https://wellmethod.jp/dry-mouth/

6-3.皮膚の乾燥の治療

シェーグレン症候群では、皮膚の乾燥症状(ドライスキン)が起こることがあります。

その際は、白色ワセリンやヘパリン類似物質油性クリームが主成分の塗り薬の保湿剤を使用します。

6-4.乾燥以外の症状への治療

乾燥以外の症状で、発熱や関節痛などの痛みに対しては、症状を緩和するために非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)といった治療薬が使用されます。

また、症状が重度の場合は副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤といった、免疫を抑制する働きのある治療薬が用いられます。

7.日常生活で気を付けること

シェーグレン症候群は、自己免疫疾患であり、すぐに治る疾患ではありません。

そのため、病気と共存しながら、生活を積極的に楽しむことが大切です。

そのためにも、症状を悪化させない生活づくりを心がけましょう。

7-1.規則正しい生活を心がける

時計 規則正しい生活

ライフスタイルの乱れが症状を悪化させる可能性があります。
安静と十分な睡眠は大切です。疲労を溜めこまないように、適度に昼寝をとるなどして上手に息抜きをしましょう。

乾燥症状に対しては保湿が重要となるため、空気が乾燥しやすい時期は加湿器などを上手に使用しましょう。

マスクを使用して口腔内を加湿することもおすすめです。

また、普段からパソコンやスマホを使用しすぎて目を酷使しないようにしましょう。

直射日光やエアコン、低湿度、煙やホコリの多い環境は避けるようにしましょう。

7-2.身体的、精神的にストレスを解消する

体や精神的なストレスは、症状を悪化させる原因になります。

疲れやイライラするときは好きな音楽を聴く、アロマを焚く、お気に入りのカフェやお店に行ってみるなど、好きなことを取り入れてみましょう。

適度な運動は、ストレスを解消するだけではなく気分転換にもなります。

アロマ

7-3.食事を工夫する

食事の際は、よく噛むようにしましょう。

飲み込みづらさを感じるときは、とろみをつける、軟らかく煮る、一口大に切る、など食材を工夫することも大切です。

虫歯や歯周病の予防のために、砂糖を含む食事を控えましょう。

また、口の中が乾く乾燥食品、香辛料、アルコール飲料は唾液の分泌が低下するため、できるだけ控えるように心がけましょう。また、食事の温度も、熱すぎず冷たすぎず、温度が口の中を刺激しないよう、食べやすい温度に調整するようにしましょう。

8.ひとりで不安を抱えず、周囲の人の力を借りましょう

シェーグレン症候群 支え合い

シェーグレン症候群は、原因が明らかにされておらず、発症すると長期的に付き合っていく必要がある病気です。

周りからは症状が見えにくく、ひとりで悩んでしまうという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、このつらい思いをひとりで抱え込むにも限界はあります。

そんなときは、思い切って職場や家族、周りの人の力を借りてみてはいかがでしょうか。

仕事や家事をひとりで抱え込まない、ストレスをためこまないようにリラックスできる環境を整えるなど、周りの手を借りることも大切です。

また、ドライアイやドライマウスの対策として毎日のケアの積み重ねや日常生活の見直しも大切です。

これからも、みなさまの毎日が笑顔で溢れますように、一日一日を丁寧にすごしていきましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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