だるさの原因から見る隠れた病気と4つの予防法
こんにちは。ライターの和重 景です。
朝起きる時、「なんだかだるい」「どうもだるさが取れない」と感じた経験はありませんか?
それが純粋な風邪の症状でしたら良いのですが、女性の場合、ホルモンバランスの乱れや更年期障害などが関係していることも考えられます。
かくいう筆者は、更年期にさしかかる頃は、「何となく起きたくない」「だるさが取れないので寝ていたい」という時期を経験しました。
だるさを感じる原因はさまざまです。まだまだ大丈夫と思っていたところ、思わぬ病気につながることもあるので注意しなければなりません。
この記事では、だるさの主な原因や予防法などについて紹介します。原因がわからず、悩まされている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.当てはまるものにチェック! だるさが引き起こす症状
体のだるさは、いろいろな症状を引き起こします。
自分ではだるいと感じていなくても、当てはまる症状がある場合は注意しておいたほうが良いでしょう。
たとえば、
・朝起きるのが突然辛くなった
・やる気が出ない
・集中力が続かない
といった症状は、だるさが原因で引き起こされている場合もあります。
あるいは、
・食欲がない
・化粧の乗りが悪くなった
・目や肩、腰が疲れる
といった身体的な症状も要注意。だるさが引き起こしている可能性があります。
2.だるさの主な原因とは?
だるさの原因は実にさまざまです。
普段の生活に根ざしたものもあれば、病気が関係しているということもあります。主な原因を紹介しましょう。
2-1.不眠や睡眠不足
不眠でよく眠れない状態が続くと、体のだるさを感じることがあります。
不眠とは、寝付きが悪い、眠りが浅い、早くに目が覚めるといったように、質の良い睡眠がとれていない状態のことです。
もちろん、1日くらいの不眠であれば、翌日に眠くなる程度で問題はないでしょう。
しかし、不眠状態が続くと慢性的な睡眠不足になり、日中での体のだるさにつながります。
また、慢性的な睡眠不足は集中力や注意力の低下、食欲が高まることによる動脈硬化や肥満リスクの上昇を引き起こすこともあるので注意が必要です。
2-2.仕事による過労やストレス
働き過ぎからくる過労も、体のだるさを引き起こします。
長時間労働や過重労働が続いていないかどうか、振り返ってみましょう。
きちんと休息してもだるさがとれなかったり、疲れているはずなのにうまく寝付けなかったりする場合、慢性的な疲労となっている可能性もあります。
なお、多くの企業では特別の事情がない限り、1カ月の時間外労働の上限を45時間までと定めています。この時間を超えた残業が続いている場合は要注意です。
一方、仕事による精神的なストレスも、体のだるさの原因となります。
上司からの叱責や達成困難な業務などから気分が沈み、体のだるさにつながることがあるのです。特に、集中力が続かない、食欲不振といった症状が出ている場合は注意しましょう。
2-3.栄養バランスの乱れ
なかなか疲労がとれない場合、疲労回復に必要な栄養がきちんと摂取できていないのかもしれません。
特に、食生活の乱れなどは、普段摂取している栄養のバランスを悪くすることもあるので注意しましょう。
タンパク質やビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群、鉄、亜鉛、マグネシウム、ビタミンC、クエン酸などは、疲れているときに積極的に試しておきたい栄養素です。
2-4.病気
睡眠は十分、過労やストレスとは無縁、バランス良く食事がとれているにもかかわらず疲労を感じる場合は、病気という可能性もあります。
風邪のような一般的によく見られる病気のほか、肝炎などの肝機能障害、慢性的な腎機能障害、甲状腺や副腎のホルモン異常、不整脈などは、身体的なだるさを伴うことも少なくありません。
また、知らないうちにストレスがたまった結果、うつ病になって動けなくなるというケースもあります。
3.特に女性が注意しておきたい体のだるさの原因とは?
体のだるさを引き起こす原因のなかでも、特に女性が注意しておきたいものがあります。主な原因としてあげられるのが、更年期障害、ホルモンバランスの乱れ、そして貧血です。
3-1.更年期障害
更年期とは、閉経を挟んだ前後10年間のことを指します。
閉経が訪れる平均年齢は50歳あたりといわれているので、40~60歳あたりが更年期と呼べるでしょう。
更年期に入ると、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量が減少していきます。
女性ホルモンの減少は月経不順の原因となるだけではなく、体調不良を引き起こすことも少なくありません。
この体調不良のことを、更年期障害と呼びます。
なお、すべての女性が更年期障害となるわけではありません。また、閉経の時期には個人差があるため、更年期障害の発症時期も人によって違いがあります。
更年期障害では、ほてり、発汗、冷えや肩こり、動悸、頭痛といった身体的な症状のほか、物忘れや気分の落ち込み、イライラといった精神的な症状を引き起こします。
そして、人によっては更年期障害で体のだるさを感じることもあるのです。
閉経の時期とともに体が疲れやすくなったと感じた場合は、更年期障害を疑ってみても良いかもしれません。
なお、更年期は子どもの独立や夫の定年、あるいは両親との死別などに直面することも多い時期といえるでしょう。
こうした生活の急激な変化によって生じたストレスが更年期障害を引き起こすこともあります。
3-2.ホルモンバランスの乱れ
生理前になると、体のだるさを感じる人もいるようです。
生理前に生じる体調不良のことを月経前症候群(PMS)と呼びます。
体のだるさに加えて、頭痛や腰痛、下痢、肌荒れなどの症状を引き起こすことも少なくありません。
また、イライラや憂うつといった精神的な症状が起こりやすくなるのも特徴です。重症化すると月経前不快気分障害(PMDD)に発展し、より精神的な症状が強く表れることもあります。
3-3.貧血
貧血とは、血液中のヘモグロビンが減少した状態のことです。
ヘモグロビンは全身へ酸素を送る働きを持っており、減少すると体内の酸素量も少なくなります。
その結果、細胞でエネルギーを作るミトコンドリアの活動が低下し、電池切れのような状態になり、だるさを引き起こしてしまいます。
特に、女性は月経の関係で男性よりも鉄欠乏性貧血になりやすいといわれており、注意が必要です。
月経がある女性は、貧血とまでは診断がつかなくとも、慢性的に体の鉄の貯蔵が枯渇した「隠れ貧血」に陥っている可能性があります。この場合も、慢性的なだるさを引き起こします。
また、誤ったダイエット方法や偏食で貧血を引き起こすこともあります。
4.だるさの予防は生活習慣の見直しから
体のだるさを引き起こさないためには、原因を発生させないことも大切です。
不眠やストレスのほか、栄養バランスの乱れ、貧血などは、生活習慣を見直すことで予防できる場合も少なくありません。
もちろん、今まさにだるさを感じている場合でも、これから生活習慣を見直すとだるさが改善されることがあります。
4-1.規則正しい生活を送る
昼夜が逆転しているような生活は、脳に負担をかけたり、自律神経の乱れを引き起こしたりします。
日が変わる前に眠り、日の出とともに起きるように心がけると、体に余計な負荷がかからず、だるさを予防できることがあります。
4-2.きちんと休息する
疲れたと感じないようにするためにも、しっかりと休息をとりましょう。
なかなか寝付けない場合は、寝る前に音楽を聞いたり、体を温めたりしてリラックスするように心がけると、うまく眠れることもあります。
あるいは、落ち着いて寝られるように寝具を変えてみるのも有効です。
逆に、コーヒーなどのようにカフェインが含まれる飲み物は質の良い睡眠を妨げるので、就寝前には飲まないようにしましょう。
また、寝る前にスマートフォンなどを見るのもおすすめできません。スクリーンから発生するブルーライトは、睡眠を促すメラトニンの分泌を抑えてしまうことがあるためです。
4-3.ストレス解消につながる行動をとる
ストレス解消につながる行動をとるようにすると、うまくストレスと付き合うことができます。
スポーツなどで体を動かすのはもちろんのこと、読書や映画のように好きな趣味に没頭してみるのも、ストレス解消の効果があります。
また、人によっては誰かに相談することでストレスを軽減できるケースも少なくありません。
特に、仕事や生活における深刻なストレスは、うつ病を引き起こすこともあります。自分ひとりで解決しようとせずに、信頼できる相手やカウンセラーに相談してみましょう。
4-4.食材を意識してみる
疲労回復に効果があるといわれる食材を取り入れるように意識すると、効率よく栄養素を摂取できます。
たとえば、豚肉は動物性たんぱく質と同時にビタミンB1を含んだ食材です。
また、鶏胸肉にも多くの疲労回復成分が含まれており、疲労回復への効果が期待できるでしょう。
貧血の原因は鉄分の不足によるものも多いため、鉄分を多く含む野菜や果物、レバー、赤身の肉・魚などを積極的にとって補いたいものです。
こうした食材をバランス良く取り入れたメニューから、まんべんなく栄養素を摂取することが大切です。規則正しい食事のリズムを保つこととセットで行うことも重要になります。
5.だるさが長引く場合は病院へ
だるさが長引いている場合は、先に紹介したような病気が原因となっているケースも少なくありません。
だるいと感じるだけでは病院に行くのが気後れするという人もいるでしょう。
しかし、場合によっては深刻な病気がだるさを引き起こしている可能性もあります。
おかしいと感じた場合は、きちんと病院へ行くようにしましょう。受診する診療科としては内科のほか、ストレスや悩みが原因と思われる場合は心療内科や精神科も想定されます。
栄養不足を的確に診断する為には、分子整合栄養療法、オーソモレキュラー療法を行なっているクリニックに受診すると良いでしょう。場合によっては、抑うつなどのメンタル的な症状も栄養不足から起きている可能性があります。
6.まずは生活習慣を振り返ろう
つらいだるさ、1日でもはやく改善したいですよね。
まずは、生活習慣の見直しからはじめていただくこと、それから女性の場合は特に、隠れた婦人病が関係しているということがわかりました。
もし、規則正しい生活に変えても症状が緩和されない、または長引く場合には、迷わずに病院へかかることをおすすめします。
40代・50代の女性は“責任世代”と言われていますが、ストレス発散の方法を身につけておくこと、ひとりで抱え込まないことが大切です。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか
和重 景
主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。