こんにちは。WELLMETHODライターの和重 景です。

あなたにとってスマホはどんな存在でしょうか。

メール、調べもの、ゲームなど、一人何役もこなせるスマホは、仕事やプライベートでも実に優秀なアイテムですよね。

今やお財布さえもキャッシュレス化が進む時代。そのため、スマホは我々の生活に必要不可欠な存在になりつつあります。

しかし、そんなスマホをよく使う人ほど要注意。

「最近、人の名前が思い出せないことがある」
「大事な約束をすっぽかした」
「やる気が起きない」

など、心当たりがありませんか。

正直、筆者も「急に知り合いの名前が思い出せなくなる」や「さっきまで話そうとしていた話題を忘れる」なんてことはよくあります。

そんなことが続いてしまうと、「年齢もあるけど、もしかしたら認知症かも…」なんて急に不安になることがありますよね。

スマホやパソコンをよく使う人であれば、それは「スマホ認知症」の兆候かもしれません。

ここでは、スマホ認知症の原因から予防策についてご紹介したいと思います。

1. スマホ認知症とは

スマホ認知症とは、「スマホ(スマートフォン)やインターネットなどのIT機器からの過剰な情報を脳が処理しきれなくなり、脳の認知機能が低下した状態」のことをいいます。

脳神経外科医で、おくむらメモリークリニックの奥村歩医師が提唱する概念です。

スマホ認知症についての2つの特徴をご紹介します。

スマートフォンを持つ女性

1-1. 特徴1)情報過多による脳の疲労

スマホやインターネットはSNS、ゲーム、調べものと、欲しい情報が大量かつすぐに手に入ります。

しかし、言い方を変えると、過剰な情報を受けとりすぎてしまう一面を併せもっています。

つまり、スマホやインターネットを使用しすぎると、脳に今まで以上に膨大な情報が送られ、情報処理が追い付かず、脳自身の機能が低下します。

そのため「物忘れ」や「うつ状態」が引き起こされることがあります。

この状態は、「スマホ認知症」もしくは「オーバーフロー脳/情報過多うつ」「スマホによる脳過労」などと通称されています。

1-2.  特徴2)アルツハイマー型認知症などとは異なる

「スマホ認知症」は、よく言われる「アルツハイマー型認知症」などの認知症とは異なります。

脳が物事を記憶するには3つのステップがあります。

1. はじめに脳に情報を入れる「インプット」
2. 次に脳内で情報を仕分けし、記憶の棚にしまう「整理」
3. 最後に記憶の棚から必要な情報を取り出し、話すなどの「アウトプット」

通常、もの忘れはこの記憶の過程のどこに障害がでるかによってタイプが変わります。

アルツハイマー型認知症の場合は「インプット」に障害が生じるものであり、「ど忘れ」「脳過労によるスマホ認知症」は、「アウトプット」に障害が起きる、といった違いがあります。押し寄せる情報のインプットが過剰になり、整理整頓ができないままに、アウトプットが追いつかずにシステムにバグが発生してしまうのです。

スマホ認知症

また、スマホ認知症では海馬の萎縮等は認められず、認知症検査であるMMSE/長谷川式テストや画像診断、脳波においても認知症症状は認められないことも特徴の一つです。

またスマホを長時間同じ姿勢で使用し続けることで、首本来の湾曲が失われてしまうストレートネック(スマホ首)の症状に悩まされる方も増えています。

ストレートネックになると、肩こりや頭痛、めまい、手のしびれといった症状に繋がります。

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1-3. スマホ認知症が引き起こされるメカニズム

私たちの脳には、大脳の一部に大脳新皮質という部分が存在します。

大脳新皮質は主に前頭葉・側頭葉・後頭葉・前頂葉の4つに分けられています。

脳が過労状態になると、特に、この中の前頭葉という部位で血流が滞りやすくなります。

前頭葉は、思考や意思決定、学習・感情の機能をつかさどっているため、この前頭葉の血流が低下することにより、物覚えが悪くなる(認知機能の低下)、意欲がわかない、イライラするなどの症状が引き起こされます。

1-4. スマホ認知症になりやすい3つの要因

それでは、どのような人や行動がスマホ認知症になりやすいのでしょうか。

1-4-1. マルチタスク

例えばテレビを見ながらスマホを使う、パソコンをみながらスマホをいじる、複数のアプリを同時に閲覧するなど「マルチタスク」とよばれる同時並行する行為は脳を過労させる要因の一つといわれています。

脳は複数のことを同時に行うことが実は苦手で、同時並行でものごとを行う際は脳の中で何度も切り替えをしなくてはならず、ストレスがたまると言われています。

マルチタスク

1-4-2. 知的好奇心が強い

スマホ認知症は知的好奇心の強い、比較的働き盛りの世代に多いといわれています。

特に日々の仕事でメールのチェックやインターネットによるリサーチなど情報収集が必然な若い世代や、情報をキャッチする意識が高いエリートビジネスマンなどの「知性の高い人間」や「知的職業についていた人」に多く発症する傾向がみられます。

1-4-3. スマホ自体に依存性がある

人はスマホからSNSやメールにアクセスする際、脳内では報酬系が活性化し、脳はモルヒネに似たような多幸感を感じるといわれています。

また他人からメールやSNSが届く際の予想不測性はこの報酬系を活性化させ、よりスマホの依存性が高まる傾向にあるといわれています。

2. 脱・スマホ認知症。身近でできる解決・予防策

スマホ認知症は正しく予防することで回復を見込むことが可能な症状です。

そのためにも、まずは「スマホによる視覚情報を遮断する」ことが大切です。ここでは脱・スマホ認知症となるための日常でできる対策についてご紹介します。

2-1. 休息時間しっかりとる

スマホ認知症にならないためには、なるべく身体をスマホに触れさせないようにすることが大切です。

仕事などでPCやスマホを必然的に使用する方は、こまめに休憩して目を画面から離すなどして、しっかり脳や目を休めることが大切です。

リラックスする時間が大切

2-2. スマホを使用しない時間を決める

トイレ、お風呂、食事中など…もしスマホを使用しながら行うものがあれば、一度やめてみましょう。

特に寝る前のスマホ使用については、スマホの画面から発する光(ブルーライト)が交感神経を活性化し、体内のメラトニンとよばれる睡眠ホルモンの分泌を低下させるため、睡眠の質が落ちやすくなるので避けましょう。

2-3. アナログの世界にあえて戻る

メールを送る、調べものをするなど、今やスマホが一つあれば何でもできる時代です。

しかし、あえてアナログで実践してみてはいかがでしょうか。

頭や手を使って物事を調べたり書いたりすることは脳の活性化につながります。手紙などはあえて手書きでかくことで、受け取り手が温かみを感じやすくなるのではないでしょうか。

2-4. ぼんやりする時間を作る

公園でリラックスする女性

脳を活性化するためには、ぼんやりして脳を休ませることも大切です。

実は、脳にはこのぼんやりする時間に活性化する回路があり、これを「デフォルト・モード・ネットワーク」といいます。

「デフォルト・モード・ネットワーク」は、1-2で説明した“脳が物事を記憶する3つのステップ”のうちの「情報の整理」に当たります。

1日のうちにスマホと向き合う時間が長時間に及ぶ場合、このぼんやりする時間が失われてしまいます。すると、この「情報の整理」が行われないために、脳がゴミ屋敷状態に。

すると、覚えるための「インプット」や話す「アウトプット」も難しい状態に陥ってしまいます。

毎日時間に追われて1日が終わる…という方は、たまには“ぼんやりを意識”して脳を休ませる時間を作ってあげましょう。

3. 疲れた脳を癒す「デジタルデトックス」とは?

人には視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感が備わっています。スマホばかり利用していると、ついつい視覚だけに頼りがちになってしまい脳が疲れてしまうため、日頃から五感をバランスよく感じられるよう取り入れていくことが大切です。

そんな中、スマホ認知症の対策の一つに「デジタルデトックス」という方法があります。

デジタルデトックスとは、旅先でスマホやPCなどのIT機器から身体をいっさい切り離し、心身共にリフレッシュする取り組みです。

スマホなどを一定期間預けることで、誰かと話したり自然を感じたりと、日頃の生活で感じなかった五感をフルに活用し、心身の疲れを奥底から取り除くことができます。

この「脱・スマホ依存」の取り組みは、全国各地の旅館やホテルにプランとして提供している施設がありますので、気になる方はぜひ検索してみてはいかがでしょうか。

森林浴

ちなみに、WELLMETHODクリモト編集長監修医である桐村医師は、寝室にスマホを持ち込まないということを実践しています。

スマホはリビングの充電器にセットしてから、布団のある別室へ。寝室にスマホがあると、音が鳴るとつい気になってしまいがちですが、ベッドのそばに充電器を設置しない取り組みは、デジタルデトックスになります。

まずは毎日できることとして、このような取り組みをおすすめします。

4. 疲れている脳に休息を。心身共にリフレッシュしましょう

現代の社会において“あえてスマホと離れて生活をする”ということは、大切なのかもしれません。

筆者も職業柄、よくパソコンの画面とにらめっこしていますが、仕事の合間や休日はあえて外出したり公園で木々をみたり、パソコンやスマホとは向き合わず全く関係のないことをするように心がけています。

そして、このちょっとした心がけが、後の作業をスムーズにしてくれる気がします。

もし、あなたが「最近もの忘れや頭が疲れているなぁ…」「認知症かもしれない…」と感じたとき、もしかするとそれは「脳が過労しているサイン」かもしれません。

その時は脳を少し休ませてあげることで、身体も心もリフレッシュできるのではないでしょうか。

絵画

オフィスにいても、お昼休みは景色が見える場所に移動して景色を楽しむですとか、木の多い自然公園で森を眺めてみるのはいかがでしょうか?

休日には、小説や詩を読む読書の時間にあてたり、絵を描いたりして、スマホから離れて脳を休める時間をとりましょう。
時間がないときはお気に入りの飲み物を飲むだけでも違います。

いつまでも美しく健康でありつづけるために、すこやかな生活を目指していきましょう。

監修:内科医 桐村里紗

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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医師

桐村 里紗

【総合監修医】
tenrai株式会社代表取締役医師
愛媛大学医学部医学科卒。
臨床現場において、生活習慣病から在宅医療、分子栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、ヘルスケアの「意味」を再定義し、様々なメディアでの発信やプロダクト監修を行っている。
ニオイ評論家としてフジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)ほか多数。

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