皆さま、こんにちは。
医師で予防医療のスペシャリスト・桐村里紗です。

「酸っぱい」モノって、お好きですか?

私自身も、お酢ドリンクや酸辣湯(サンラータン)やトムヤムクンなどの酸っぱ辛いスープが大好きで、何でもお酢を入れてしまうタイプです。

某スーパーマーケットでも、クエン酸を6000mgも含んだ「すごくすっぱいレモネード」が発売されるなど、「酸っぱい」好きのマーケットは拡大中です。

「酸っぱい」好きのために、今一度、「酸っぱい」がいかに体にとってヘルシーなのか、知っておきましょう。

1.博報堂「ヒット習慣予報」に「酸っぱい」

博報堂「ヒット習慣予報」に「酸っぱい」

博報堂の手がけるWEBマガジン・センタードットの連載「ヒット習慣予報」によると、「酸っぱい」は右肩上がりに伸びている注目ワードだそう。

「酸っぱい」と聞くと、何か健康に良さそうなイメージが湧いてきますね。

当方でも、改めてGoogleトレンドで、「酸っぱい」を検索してみると、確かにここ10年くらいの間にグッと伸びてきたトレンドのようです。

2.「酸っぱい」は健康に良い理由

「酸っぱい」と味覚が感じる成分は、食品に含まれる「〇〇酸」と名のつく酸の成分です。
これらは、ビタミンC(アスコルビン酸)のように、元々、その食品が含む成分であったり、発酵をもたらす有用菌が分泌する乳酸や酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸であったりします。

いずれも、人間の代謝にも欠かせないため、摂取して体に取り込まれることで、疲労回復やエネルギー代謝をアップするなど体に良い働きをします。

2-1.主な「酸っぱい」成分の種類

様々な酸っぱい成分がありますが、代表格は、以下です。

1.酢酸

もずく酢

言わずと知れた、お酢に含まれる成分です。
取り入れることで、体内のエネルギー代謝をサポートします。
疲労回復、エネルギー代謝の改善、糖代謝の改善などに働きます。

酢酸を産生する菌の働きで、発酵過程で発生します。
酢の物、お酢ドリンク、酸辣湯(サンラータン)などで摂れるのが、酢酸です。

最近日本に上陸しているアメリカやオーストラリアで人気のヘルシー発酵飲料「コンブチャ」も、酢酸菌によって酢酸が生まれ、独特の酸味が生まれます。

酢酸菌の細胞壁の成分・LPSは、免疫の過剰な働きを抑え、アレルギー抑制に繋がることもわかっています。
無濾過のお酢やコンブチャであれば、酢酸菌自体が液体に残っているため、LPSを取り入れることができます。

『米国セレブ愛飲の美容発酵飲料「コンブチャ」の止まらぬ進化と飲むべき理由』

https://wellmethod.jp/konbucha/

2.乳酸

乳酸菌の入っている食品

乳酸は、乳酸菌による発酵の過程で発生します。
乳酸菌で発酵したヨーグルト、しっかりと発酵した漬物全般(浅漬けではないモノ)に含まれています。
マイルドな酸味が特徴です。

食品に含まれる乳酸は、腸内環境を弱酸性にすることで、腸内の有用菌が暮らしやすい環境を保ち、腐敗菌を減らす働きがあります。

3.リンゴ酸

りんご酢

リンゴ酸は、文字通り、りんごから見つかった有機酸で、フルーツの発酵によって発生しやすいモノです。
りんごの発酵食品であるりんご酢(アップルサイダービネガー)やりんごの発泡酒に含まれますが、ぶどう由来のワインやバルサミコ酢など。また、梅干しにも含まれます。

リンゴ酸も体内のエネルギー代謝に欠かせない成分であるため、疲労回復や代謝の改善に役立ちます。

『シードルブーム到来! 医師が勧める発酵健康酒|入門編』

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4.クエン酸

レモネード

クエン酸は、レモンに代表される強い酸味をもたらす有機酸です。
お酢や梅干しなど、食べると「キュ〜っと」ほっぺたが痛くなり唾液が出るような酸っぱい発酵食品に含まれます。

クエン酸は、疲労回復や代謝の改善効果があることで有名ですね。
人の細胞の中でエネルギーを作る代謝回路は「クエン酸回路」と言い、クエン酸を代表に、先に紹介したような様々な有機酸が必要です。

「エネルギーを作る=生きている」ということです。
エネルギーが十分に作れないと、電池切れをしますので、「疲労感」を感じます。
エネルギーを作る働きが完全にストップすると、その細胞は死んでしまいます。

様々な有機酸は、細胞が健康に生きるために役立つ、必須の成分なのですね。

5.ビタミンC(アスコルビン酸)

ビタミンCは、化学的には「アスコルビン酸」と呼ばれる有機酸です。
柑橘類やキウイフルーツ、ブロッコリー、キャベツ、サツマイモ、ピーマンなど様々な食品に含まれています。

ビタミンCの入っている野菜や果物

実は、乳酸菌は、発酵の過程でビタミンC(アスコルビン酸)も生み出しています。
牛乳よりも乳酸菌で発酵させたヨーグルトの方がビタミンCを多く含みます。

野菜などからビタミンCが摂取できないモンゴルの民族や、アフリカのマサイ族は、馬や牛のお乳を乳酸発酵させ、不足しがちなビタミンCを補っているとされています。

ビタミンCは、体の働きに欠かせない必須ビタミンであり、

・抗酸化作用
・全身の酵素の働きのサポート
・シミ予防
・肝臓の解毒
・代謝の維持
・コラーゲンの合成
・ステロイドホルモンの合成:抗ストレス作用
など
様々な働きがあります。

2-2.腸内細菌が分泌する「酸っぱい」の健康効果

腸内環境

こうしてさまざまな酸をみていくと、「酸っぱい」という味覚を作り出す有機酸は、元々食品に含まれているモノ以上に、さまざまな有用菌から、発酵によってつくられるものが多いということが分かりますね。

「酸っぱい」発酵食品は、有用菌の作り出す有機酸のお陰で、発酵前よりも、体に良い成分をたくさん含んでいます。

「酸っぱい」発酵食品が苦手な人であっても、腸内の有用菌は、いずれも有機酸を生み出すモノばかりです。
腸内環境が良ければ、腸内は有機酸のお陰で「弱酸性」に保たれます。

腸内の有用菌が十分に有機酸を生み出せるように、エサとなり、有機酸の原料となる「プレバイオティクス」食品をしっかり食べることです。

水溶性の食物繊維やオリゴ糖、難消化性デンプンなどです。

『【医師が解説】肌だけじゃない! 腸内環境も発酵食品も「弱酸性」が健康の秘訣』

https://wellmethod.jp/intestinal_environment/

2-3.東洋医学では「肝」を養う「酸っぱい」

東洋医学

東洋医学には、五行という考えがあり、この世界は五つの要素のバランスで成り立っていると考えられています。
五つの味覚は、五味(ごみ)と言い、酸味もその一つです。

「酸味は、肝を補う」働きがあるとされています。
肝臓は、エネルギー代謝や解毒の要となる臓器であり、肝臓が疲れると、毒素や活性酸素が蓄積し、エネルギー代謝が上手くいかなくなり、疲労感・倦怠感に繋がります。

東洋医学的な「肝」は、肝臓を表すだけでなく、樹木のように大地から陽文を取り入れ、エネルギーにかえる作用を現し、気の流れを促し、感情のバランスをとったり、自律神経の調節を通じて、体全体の機能を調節に関わっていると考えられています。

筋肉の維持にも関わっているとされますが、筋肉疲労にも、クエン酸などの有機酸は有効に働きます。

2-4.「酸っぱい」が合わない人

「酸っぱい」には、様々な健康に良い働きがありますが、もちろん、摂りすぎは良くありません。
それに、身体に合わない人もいます。

1.胃酸が多い人・逆流する人

胃酸は、塩酸が主成分でありpH1~1.5の強酸性です。
胃酸が多く胃炎や胃潰瘍がある人、胃酸が逆流し、逆流性食道炎がある人は、「酸っぱい」食品を食べることで、追い討ちをかけて、症状が悪化する可能性があります。

胃が痛くなったり、胸焼けがする場合には、控えておきましょう。

2.冷え性の人は食べ方に注意

冷え性の人の足

東洋医学的には、食品には体を冷やす「陰性食品」と「陽性食品」があると考えられています。

「酸味」は、体を冷やす方に分類され、柑橘類やお酢、ヨーグルトは、いずれも陰性食品に分類されます。
その他、夏が旬の食べ物や南国の食べ物、砂糖などの甘みは、陰性食品です。

単独で食べるのではなく、陽性食品と組み合わせて、「中庸(ちゅうよう)」にすることで、冷えを防ぐことができます。

体を温めるのは、塩味や冬が旬の食べ物や中身が詰まった食べ物です。

塩や醤油、味噌を使った料理に酸味を加えたり、陽性食品である肉や魚、また根菜類と組み合わせたら良いですね。
酸っぱい×しょっぱい=梅干しは、陽性食品になります。

梅干し

私自身は、冷え性でありながら、「酸っぱい」が大好きです。
冬場は、大根や人参などの根菜を入れた中華スープにお酢を入れて、酸っぱいスープにしたり、鶏肉や豚肉などをお酢で煮込んだりして、「酸っぱい」を料理に取り入れています。

11月にもなってくると、1年の疲れが出やすくなりますので、「酸っぱい」を上手に取り入れて、年末まで乗り切っていきましょう。

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【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

【総合監修医】
tenrai株式会社代表取締役医師
愛媛大学医学部医学科卒。
臨床現場において、生活習慣病から在宅医療、分子栄養療法やバイオロジカル医療を用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、ヘルスケアの「意味」を再定義し、様々なメディアでの発信やプロダクト監修を行っている。
ニオイ評論家としてフジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」などメディア出演多数。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の化学』(光文社新書)ほか多数。

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