こんにちは、WELLMETHOD編集長の栗本です。

シリーズ3回でお送りしているプロゴルファー・堀 琴音選手(ダイセル所属)とWELLMETHOD総合監修医・桐村里紗先生とのスペシャル対談。
最終回である今回のテーマは「メンタルヘルス」です。

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2021ツアー初優勝の女子プロゴルフ・堀 琴音選手×医師・桐村里紗対談Vol.1|美容編

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女子プロゴルフ・堀 琴音選手×桐村 里紗医師スペシャル対談Vol.2「疲れにくいカラダづくりとは」

2021年シーズンに初優勝を成し遂げられた堀選手。低迷期を乗り越え、ついにつかんだ栄冠ですが、どん底から這い上がるまで、どのようにご自身をモチベートされていたのか。

可憐でフレッシュなイメージからは想像もできなかった言葉で、ご自身の変化について方語ってくださいました。

1.堀 琴音選手のヘルスケア~メンタルヘルス編~

1-1.プロになるという使命感

ゴルフボールとクラブ

桐村先生:では、ここからはメンタル面のお話をうかがっていこうと思います。
まず、大前提としてプロゴルファーになるって、並大抵の精神力では到底叶わないと思うのですが、堀選手は何歳ころからプロを目指されていたのでしょうか。

堀選手:プロを目指し始めたのは中学生ですね。

桐村先生:ゴルフは姉妹そろってはじめられたんでしょうか?

堀選手:そうです。小学校1年生の時に、父がゴルフを始めるタイミングで私たち姉妹も始めました。父はもうやっていないんですけど(笑)。
中学1年生のとき、3つ年上の姉が高校1年で本格的に練習を始めるのを見て、私もプロになるんだという決意をしたんです。
高校の時に徳島から神戸に出たんですが、その時にはもう、プロにならなくてはいけないなという使命感になっていました。

桐村先生:高校生でそんな使命感を持たれて、そこからこれまでも、いろんな局面でいろんなハードルを乗り越えたと思うのですが、辞めたくなることはありましたか?

堀選手:たくさんありました。本当にたくさん。

桐村先生:それでも続けてこられた秘訣はなんでしょうか?

堀選手:プロになる前となった後で、辞めたくなるポイントが違うんですけど、、、

桐村先生:それはどんな感じでしょう?

堀選手:私は3月生まれなので同学年の子と比べると身体が小さかったんですが、身体が大きい同級生とも同じ土俵で戦わなくてはならなくて、身体の大きい子の方が成績が良いとやっぱり面白くないとか。プロになる前はそういう時に辞めたいと感じていました。

プロになったらなったで、成績が悪くなってシードも落としていた時は本当に何もかもうまくいかなくて苦しくて、辞めた方が幸せなのかもしれないなーと考えて辞めたくなりましたね。
でも、このまま辞めたら人生後悔するなと思ったので今のところ思いとどまっています。後悔しないと言い切れるまで、私、やりきった! と言えるまでは、どれだけ悪い状態が続いたとしても続けようと決めたので、辞められませんでした。

桐村先生:辞められなかったんですね。でも、それが今年の結果につながった。

堀選手:自分でも優勝できたことにはびっくりしたんですが、頑張れば良いことあるんだ、辞めなくて良かったと思いました。あと、もっとゴルフのことが好きになりました。

桐村先生:さらに好きになられたのですね!

堀選手:はい。苦しいけど、改めて楽しいことも多いなと気付けて、あの時、辞めないで本当に良かったと思いました。

1-2.「泥臭く、がむしゃらに」

ゴルフをする女性

桐村先生:優勝されて、まわりの皆さまも、大変喜ばれていますよね。

堀選手:はい! それも、とても嬉しかったんです。私が思っていた以上に周りの方が喜んでくださったんです。

桐村先生:私たちも自分のことのように喜びました。自分が関係しているダイセル社に所属のゴルファーが優勝だーって盛り上がりましたよ。

堀選手:しかも、一番悪い時に契約してもらったんです。今年2年目でそろそろ結果出さないと申し訳ないと感じていたから、そんな中で優勝できて、ダイセルの皆さまも本当に喜んでくださって、いろいろな方から祝福の言葉をいただいて。あー辞めなくて良かった、と心から思いましたね。

桐村先生:強い想いはあっても優勝を成し遂げるって、全ての人に出来ることではないと思うんですが、例えば「優勝する自分」をイメージするとか、そういうことってしていましたか? 成績が出なくてネガティブになりがちなところをポジティブな想いに変えていくという精神力が大事になっていくと思うんですけど、堀選手も不調の時期を乗り越えての優勝ということで、ネガティブな精神状態を経験されていますよね?

堀選手:はい。そういう状態、長かったです。優勝するイメージを持つべきだ、というお話も聞いてきたことがあるんですが、成績が悪い時はそういうイメージなんて全然描けなかったです。
私の中では、泥臭く、がむしゃらにとにかく目の前にあることをこなしていくって感じでやってきたんですね。

桐村先生:可憐なイメージとは全然違ってかっこいい!!
芯が強い! 泥臭くがむしゃらにって、すごくいいですね。

堀選手:自分で言ってて恥ずかしいですけど、本当に優勝を思い描くみたいなことは出来ていなくて、座右の銘は「練習は裏切らない」なんですけど、今思ったら、がむしゃらにやってきたから優勝できたって感じです。
そういうイメージができてそこに向かう選手もいますし、それが出来る人はすごいなと思います。

桐村先生:そうですね。未来を描いて叶えることができるのもいいけど、今この瞬間に集中する、その集中を繰り返しやっていくというのが堀選手のスタイルなんだなと思いました。

堀選手:私にはその方が合っていると思ったので、目標を定めるというよりは、とにかく目の前のことをこなしていくというのをモットーにしています。

1-3.マインドフルネスとは?

堀琴音選手スペシャルインタビュー

桐村先生:「マインドフルネス」って流行ってますが聞いたことはありますか?

堀選手:「マインドフルネス」ですか?

桐村先生:人間の思考というのは、過去を後悔したり未来を心配したりして、不安な気持ちになって、なかなか今ここに集中するってできないことが多いんです。本当は、過去も未来も自分の脳内にしか存在しないにも関わらず、それにとらわれてしまうことがある。それに対して今、まさに目の前にあるこの瞬間に集中するという考え方が「マインドフルネス」なんですね。堀選手は、そういうことをまさに実践してらっしゃると思います。

堀選手:そうかもしれないですね。前までは、過去に良い状態だった時のことを忘れられなくて、そういう雑念に振り回されてたこともあるんですが、それを捨てるというか、過去のことはもう考えないようにしようって決めた後の方が、気持ちも楽になったし、気持ちも楽になったら成績もついてくるようになりました。

桐村先生:変な力の入り方してたのが、軽くなった感じですか?

堀選手:そうですね。言葉でいうとそんな感じだと思います。

桐村先生:やはり、なにかに執着すると、変な力が入ると思うんです。ゴルフって良いパフォーマンスを出すには、必要な所に力を集中させて、要らないところは上手に力を抜くというのが、かなり重要なポイントですよね。

堀選手:そうするためにも、ストレスをためないのが一番だと感じています。

桐村先生:ストレスをためないようにするにはどういうことに気を付けていますか?

堀選手:先ほどもお話ししたけど、食事もそうですが、私生活で無理をしないことですかね。
実は私、趣味がないことが悩みだったんですけど、別に趣味がなくて、オフの日に一日ゴロゴロしていてもそれはそれでいいじゃないって思うようになりました。

桐村先生:それで全く問題ないと思いますよ。お家でゆったり過ごすのが趣味って良いと思います。特に仕事で緊張を強いられるプロスポーツ選手には、最高だと思います。

堀選手:オフの日もアクティブに動けよって周りからは言われるんですけど、、、みんな趣味があるから私も何かやらなくてはというのは違うと思ったし。もちろん趣味が見つかれば嬉しいですけど、今はお家でゴロゴロすることで心地いいなら、私生活でストレスをためないためにもそれが一番かなと思っています。
何もすることなくて、結局練習に行っちゃうことも多いんですけど(笑)

桐村先生:ライフワークとして染み込んでしまっているんですね。

堀選手:そうなんです。

桐村先生:ゴルフでは、とにかくすごい集中力で、常に交感神経モードになっておられると思うので、抜きどころとして私生活でだらだらゆったりしていても全く問題ないです。というか、むしろバランスを取るために必要です。趣味なんて、いくつからでも見つけられますから、いつか後悔しないレベルまでゴルフをやり切って、そのあと探せば良いと思いますよ。今は、ゴルフのパフォーマンスを最大限にするためにも、リラクゼーションすることが趣味だということで良いのではないでしょうか。

1-4.深い眠りのために

枕

桐村先生:睡眠時間はどうですか?

堀選手:昔に比べると眠れなくなりました。昔は10時間とか眠ってたんですが(笑)
疲労回復と関係していると思うので、だんだん短くなっていくのが少し怖いです。
どうやって深い睡眠がとれるのかなってのが悩みです。

桐村先生:そうですね。実は睡眠にも鉄分やビタミンが関係しているんです。睡眠ホルモン=メラトニンを作るには原料としてタンパク質が必要です。それを消化してできたアミノ酸からメラトニンが作られますが、合成されるときに鉄分やマグネシウム、ビタミンB群が必須です。ですので、ビタミンだけでなくやはり鉄分の補給はしたいですね。

堀選手:なるほど!

桐村先生:あと、マグネシウムはサプリメントとしてではなく、エプソムソルトという入浴剤で皮膚からマグネシウムを体内に取り入れることもできます。私も眠りに対して悩みを持っている方なのですが、エプソムソルトを入れたお風呂にゆっくりつかると、血行もよくなってリラックスもできますので、入浴剤を選ぶならエプソムソルトがおすすめです。

それから、お風呂に入って、上がったすぐ後は、体が芯まで温まっています。入眠のためには体温が少し下がることが必要なので、この温まった状態のままだとなかなか寝付けません。湯船で温まったあとは、1時間くらい、少し身体のほてりが取れたかなというところで布団に入ると、良い眠りにつけますね。

堀選手:そうなんですね!

桐村先生:あとはスマホを布団に入る直前まで見ないことですね。

堀選手:それはよく聞きますよね。私も割とスマホでなんでも検索して調べてしまう方で、、なんでも書いてあるので見ない方がいいなーとは思ってるんですがどうしても見てしまいます。
ただ、親のしつけで守っているのは、暗闇ではスマホは見ないことにしています。なので、今も一応裸眼で過ごせていますが、眠るタイミングで電気を消す直前までスマホを見ているときもありますね。良くないなーとは思いつつ、気持ちに負けている感じ。

桐村先生:ブルーライトカットはされていますか?

堀選手:フィルムは貼っています。

桐村先生:光自体の刺激は注意が必要ですね。フィルムで100%カットできるわけではないんですが、ブルーライトの光を感じると、身体が「まだ昼間なんだ」という勘違いをしてしまって睡眠のリズムに影響します。ブルーライトだけでなく、明るい光は刺激になります。だから夜はなるべく暗い状態にしてあげること。せめて、眠る1時間前には見ないようにすること。寝室にはもちこまないというような、見なくて良い状況を作ってあげることは大切ですね。

堀選手:試合の時の方が、スマホを見ずに過ごせているんですけど、オフシーズンの今は一番スマホを見てしまっています。オフでも仕事はあるので、この時期にこそ、整えられるようにしたいです。

桐村先生:自己管理も大切ですよね。

堀選手:そうなんです。自分でやるしかないんですよね。個人競技なので、こういうところで差が出るのかなと思いました。長く眠れないなら質を上げることをしたいので、それは注意しなくてはいけないですよね。

2.終わりに

堀琴音選手スペシャルインタビュー

3回にわたってお送りした、堀 琴音選手のインタビュー、いかがでしたでしょうか。

実際にお話ししてみると、堀選手はとても明るく気さくな方で、インタビューも大変盛り上がりました。
また、勝手に抱いていたイメージからは想像していなかったほど、悩みながらもご自身の身体や心のちょっとした変化をしっかり感じ取りながら、どうしたら良いパフォーマンスに繋がるかを考えられており、愚直にゴルフと向き合っておられる姿に感銘を受けました。

女性ばかりのインタビューは非常に盛り上がり、予定していた2時間があっという間に過ぎて行きました。

最後は、堀選手の結婚観や、参加メンバーそれぞれの出身地の「お雑煮」事情まで。

雑煮

ちなみに、今回のインタビューは、徳島出身の堀選手、岡山&東京育ちの桐村先生、WELLMETHOD編集部は奈良出身の久徳と、静岡出身の栗本という4人でしたが、白味噌×丸もちこそがお雑煮と思っていらっしゃった堀選手は、すまし汁派のお雑煮や、おもちの形の違い、奈良では、お雑煮のお餅をお汁からあげて、きな粉につけて食べるということを聞いて、衝撃を受けておられました。

これまでも、弊社に所属されているプロゴルファーということで応援してまいりましたが、今回のインタビューでさらに堀選手に対する親近感が増しております。今後も、堀選手のより一層のご活躍をお祈りし、WELLMETHODとしても応援し続けたいと思います!(完)

▶2021ツアー初優勝の女子プロゴルフ・堀 琴音選手×医師・桐村里紗対談Vol.1|美容編

https://wellmethod.jp/special-talk-hori-kotone-vol1/

▶女子プロゴルフ・堀 琴音選手×桐村 里紗医師スペシャル対談Vol.2「疲れにくいカラダづくりとは」

https://wellmethod.jp/special-talk-hori-kotone-vol2/

この記事の執筆は 栗本 雅子

メノポーズカウンセラー

栗本 雅子

【WELLMETHOD/エディター/ライター】

1978年生まれのB型。
ヘルスケア業界に15年従事したのち、2018年11月より現職(株式会社ダイセル)の新規事業であるヘルスケア部門に配属、WELLMETHODを立ち上げる。
役に立つことしか伝えないをモットーに、言葉にこだわったマーケティング活動を展開中。家族は猫7匹(ほぼ保護猫)と夫1人。

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