目も日焼けするって本当? 紫外線が目に与える影響と目を守るための対策5選
こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。
紫外線が強い季節になると気になるのが日焼けではないでしょうか?
いまでは紫外線が体に与える影響が広く知られるようになり、1年を通して紫外線対策をしている方も多いと思います。
日焼け対策といえば、肌を紫外線から守ることと思われがちですが、それだけでは万全とはいえません。
みなさまは肌と同じように、目も日焼けすることをご存じでしょうか?
実は紫外線が目に与える影響は大きく、ときには目の病気を引き起こす可能性もあります。
筆者は、過去に目の日焼けを経験したことがあります。
その日は肌の紫外線対策を行い、山へ出かけました。
外出していたときは何も感じなかったのですが、夕方家に帰ってくると目がしょぼしょぼして痛みを感じるようになり、目を開けているのがつらい状況が続きました。
筆者と同じような経験をしたことがある方はいらっしゃいますか?
あの目の違和感や痛みを経験してからは、「もう二度と日焼けしない!」と強く思い、それからは肌と同じように目の紫外線対策を行っています。
今回は、目が日焼けする仕組みとその危険性、日焼けを防ぐ効果的な5つの方法をご紹介します。
目次
1.目の日焼けとは?
一般的にいわれる日焼けとは、皮膚に紫外線を浴びることによって皮膚が赤く炎症を起こす急性症状とメラニン色素が皮膚の表面に色素沈着することをいいます。
そのため、目の日焼けというと意味合いが少し違うように感じるかもしれませんが、紫外線のダメージを受けるのは皮膚だけではなく目もダメージを受けます。
今回はわかりやすいように、紫外線の影響を受けることを部位に関係なく、日焼けと表現してご紹介していきます。
目も皮膚と同じように紫外線があたると、高い酸化力を持つ活性酸素の量が増え、日焼けを引き起こします。
活性酸素とは、呼吸で体内に取り込んだ酸素の一部がさまざまな刺激を受けて活性化したもののことです。
活性酸素にはいくつか種類があります。
細菌やウイルスから体を守ったり、抗酸化物質産生を促したり、血管拡張させたり、体に有益な作用をもたらす種類もあります。一方で、過剰な活性酸素や反応が強い種類の活性酸素は、細胞を傷害し、体にダメージを与えてしまいます。
目に紫外線を浴びることで角膜に炎症が起き、目にさまざまな症状が現れます。
また紫外線による影響を受け続けることで、目の細胞を破壊してしまう可能性もあるのです。
1-1.目の日焼けによる肌への影響
目の日焼けは目だけに影響を与えるのではなく、肌にも影響を与えることがあります。
目から紫外線が侵入すると角膜が紫外線を吸収し、脳からメラニン色素を作り肌を守るように指令が出され、肌の色が黒くなってしまうのです。
このときメラニン色素が過剰に作られてしまうと、日焼けだけにとどまらずシミやそばかすの原因にもなってしまうこともあります。
2.目の日焼けで起こる症状とは?
目の日焼けによって起こる症状はさまざまです。
よく見られる症状は、目の痛みや充血です。
その他にも目がしょぼしょぼして見えづらい、涙が止まらない、かゆいといった症状が現れます。
これらの症状は一般的に「雪目」と呼ばれる雪眼炎の症状で、紫外線によって起こる表層角膜炎です。紫外線を浴びた数時間後に発症します。直接太陽光を見なくても、アスファルトや海岸の砂浜からの太陽光の照り返しでも起こります。
3.目の日焼けを放置することで起こる病気
目の日焼けによって起こる症状は急性症状が多く、目を安静にしたり、適切なアフターケアを行うことで軽減することができます。
しかしそのまま放置したり紫外線のダメージを継続的に受けると、目の病気を引き起こす可能性があります。
3-1.白内障
白内障とは眼球の水晶体が濁る病気です。
水晶体は、カメラに例えるとレンズのような働きがあり、水晶体が濁ることで眼が見えにくくなります。
初期の段階では少し見えにくいかなと感じる程度ですが、徐々に濁りが広がっていくため、生活に支障をきたすことも少なくありません。
白内障は紫外線の影響だけでなく、主に加齢によって発症しますが、医療機関で適切な処置をすることで、最近ではほとんど失明するリスクはなくなっています。
3-2.翼状片(よくじょうへん)
翼状片とは、結膜組織(白目部分)が角膜(黒目部分)に侵入してくる病気です。
紫外線を浴びることで発症するといわれており、とくに中高齢の方に多く見られます。
見た目の問題の他にも、進行すると乱視が強くなったり眼の乾燥や異物感などさまざまな症状が現れます。
徐々に視力の低下を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
翼状片は薬や点眼での治療は難しく、手術が行われることがあります。
3-3.黄斑変性症(おうはんへんせいしょう)
黄斑変性症とは、目にある黄斑という組織が衰えることで視力が低下していく病気です。
黄斑はカメラでいえばフィルムのような働きがあります。
白内障は手術によって濁った水晶体を人工レンズと交換できますが、黄班は交換することはできません。
黄斑変性症の症状は視力の低下やものが歪んで見えたり視野が欠けたりすることです。
進行していくと失明してしまう可能性もあります。
4.目が日焼けしてしまったときのアフターケア
日焼けをしないように気をつけていても、うっかり日焼けしてしまうこともあるかもしれません。
また日焼けしてしまったのではないかと不安になることもあるのではないでしょうか。
そういったときは、早めにアフターケアを行うことが大切です。
4-1.目を冷やす
目が充血した場合は、できるだけ早く目を冷やしましょう。
充血は目に炎症が起きた状態です。まぶたの上から冷やすことで充血を軽減することができます。
目を冷やすときは、目を閉じ冷たい水で濡らしたタオルを10~15分くらいまぶたの上にのせましょう。
タオルが手元にないときは、冷たい水で顔を洗うだけでも効果が期待できます。
コンタクトレンズをしている方は、はずしてから冷やすようにしましょう。
4-2.目薬をさす
冷やしても症状が改善しない場合は、目の炎症を抑える硫酸亜鉛水和物成分が配合された紫外線用目薬を使用しましょう。
硫酸亜鉛水和物の収れん作用によって炎症を抑制し、傷ついた組織の回復を助けます。
また、ヒアルロン酸ナトリウムやコンドロイチン硫酸エステルナトリウムは、紫外線を浴びて傷ついた角膜の表面を保護する働きがあります。
ドラッグストアなどでも購入することができます。
使用する際は用法用量を守って正しく使うことが大切です。
4-3.医療機関を受診する
ご紹介したアフターケアを行っても症状の改善が見られない場合は、医療機関を受診しましょう。
紫外線は目に大きな影響を与え、さまざまな目の病気の原因にもなります。
それらの病気の中には失明のリスクを伴うものもあるため、気になる症状が長く続く場合は早めに受診するようにしましょう。
5.紫外線から目を守る方法4選
肌の日焼けを防ぐためには日焼け止めを塗ることができますが、目に日焼け止めを塗ることはできません。
しかし目を日焼けから守る方法はあります。
紫外線から目を守る5つの方法をご紹介します。
5-1.UVカット機能があるサングラス・眼鏡・コンタクトレンズ
サングラスは紫外線から眼を守る効果的なアイテムです。
UVカット機能がついたサングラスや眼鏡・コンタクトを活用することで紫外線の影響を軽減することが期待できます。
サングラスの場合、レンズの色が濃ければUVカット機能が高いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、レンズの色とUVカット率は関係ありません。
また濃い色のレンズは視界が暗くなるため瞳孔が開き、目に光が入りやすくなります。
サングラスはUVカット率で選ぶようにしましょう。
またサングラスや眼鏡は側面や隙間から紫外線が侵入する可能性があるため、つばの広い帽子などと併用すると良いでしょう。
5-2.日傘・帽子
サングラスの話しでも少し触れましたが、紫外線は隙間から侵入してくるため帽子や日傘を使用しましょう。
帽子はキャップよりもつばの広いタイプのものがおすすめです。
日傘もUVカット率(紫外線遮蔽率)が高いものや光を遮る効果が高い1級遮光率のものを選ぶと良いでしょう。
▼色や素材はどんなものが良い? 紫外線対策に欠かせない日傘選びのポイント
https://wellmethod.jp/parasol/
5-3.目薬
4章のアフターケアでもご紹介した紫外線用目薬は、日焼けによる症状を軽減するためにも用いられますが、目の潤いを保ちながら乾燥から守る効果も期待できます。
強い紫外線を浴びていると目に炎症が起きていなくても、紫外線によるダメージを受けています。
ダメージを蓄積しないためにも、日頃から目を労わるような予防ケアを行いましょう。
5-4.紫外線対策となるルテインを摂取する
目の日焼けは外側からのケアだけではなく、体の内側からケアすることも大切です。
日々の食事から紫外線対策に効果的な栄養素を含む食材をとることで、日焼け対策を行うことができます。
目を日焼けから守るためだけではなく、目の健康を維持するために欠かせない栄養素として知られているのが「ルテイン」です。
目の中の水晶体や黄斑部などに元々存在している成分ですが、野菜の色や香りの成分であるファイトケミカルの一種であり、黄色の色素です。
ルテインには活性酸素による酸化を抑え、紫外線やブルーライトの吸収を抑制する働きがあります。
ルテインを多く含む食材は、ほうれん草やかぼちゃ・ブロッコリーなどの緑黄色野菜やブルーベリーなどです。
毎日の食事からルテインを摂取できるように心がけましょう。
5-5.ドライアイを改善する
ドライアイとは目を守るのに欠かせない涙の量が不足し、角膜が乾燥して眼の表面を傷つけてしまう病気のことです。
角膜には紫外線の大部分を吸収する働きがありますが、角膜が乾燥していると紫外線のダメージを受けやすい状態となります。
スマートフォンやパソコンの普及によってドライアイの方が多くなっています。
ドライアイの症状が続く方は我慢せず、眼科を受診するようにしましょう。
https://wellmethod.jp/dry-eye/
6.目の日焼けを防ぐためにも生活習慣を見直しましょう
紫外線は皮膚だけではなく目にもさまざまな影響を与えることをご紹介しました。
日焼け対策というと肌へのケアに注目が集まりがちですが、目の日焼けを放置することで見えづらくなったり視野が狭くなってしまうなど、日常生活に支障をきたす病気になることもあります。
目の日焼け後のアフターケアももちろん大切ですが、日焼けをしないように食事や生活習慣を見直すことが大切です。
40代を過ぎたからこそ健康的な体を維持するために、毎日の生活を整えながら健康リスクを少しでも減らしていきましょう。
この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

桐村 里紗
総合監修医
・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属
愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。
- 新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)』
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著作・監修一覧
- ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
- ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
- ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
- ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
- ・「解抗免力」(講談社)
- ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)
ほか
和重 景
主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。