こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

40代になると体調が良い日もあれば、なにをするにも億劫という日もあるのではないでしょうか?

私は40代になってから、まるでジェットコースターのように気分の浮き沈みがあり、自分の体調に振り回されることが多くなりました。

年齢的なことも考えると、女性ホルモンの乱れが原因なのかなと思います。

女性ホルモンのバランスが乱れているのかもと不安になっていても、ホルモン剤やサプリメントに頼らず我慢する! という方もいらっしゃるかもしれません。

実は私もその一人でした。ホルモン剤やサプリメントは「ちょっと怖い」というイメージがあり、副作用も気になっていたのでこれまで積極的に使ったことはありませんでした。

「本当にホルモン剤やサプリメントは安全なのか?」
「副作用を怖がっているのは私だけ?」

そんな疑問や不安をもっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、全国の20代以上の女性を対象に行った婦人科調査をもとに、女性ホルモン様作用のある薬やサプリメントの正しい活用の仕方について考察していきます。

1.アンケート結果からの考察

今回行われたアンケートは、全国の20代以上の女性を対象として、ホルモンバランスを起因とする不調に対する女性ホルモンを含む薬、および女性ホルモン様作用のあるサプリメントの使用への意識を分析したものです。

女性の年代別にみた女性ホルモンを含む薬や女性ホルモン様作用のあるサプリメントへの意識がわかった調査結果となっています。ではさっそく、そのアンケート結果からみていきましょう。

1-1.ホルモンバランス起因の不調に対する薬とサプリメントの活用について

閉経前後において、ホルモンバランスの崩れによって生じる不定愁訴を和らげるために、女性ホルモンを含む薬を活用すべきであるという質問に対し、「強くそう思う」「そう思う」と回答した方の合計が49.2%、女性ホルモン様作用のあるサプリメントを活用すべきであるという質問に対し、「強くそう思う」「そう思う」と回答した方の合計が51.4%と、どちらも約半数の女性が薬やサプリメントの活用に前向きであるという結果となりました。

女性ホルモン様作用のあるサプリメントを活用すべきである円グラフ

女性特有のホルモンバランスが原因の不調の場合、薬の服用と同程度もしくはそれ以上にサプリメントに不定愁訴の症状の改善を求める声が多いことが、サプリメントへの期待の表れであると考えられます。

女性ホルモン様作用のあるサプリメントを活用すべきである円グラフ2

また「女性らしさの維持」に焦点を当てると、薬よりもサプリメントを活用すべきと答えた方が多いことから、サプリメントの効果を期待していることがわかります。

サプリメントは薬と異なり「美容・健康」というイメージが強くあることも、この結果に影響を与えていると考えられるのではないでしょうか。

1-2.ホルモン剤・サプリメントの副作用について

女性ホルモン様作用のあるサプリメントを活用すべきでない円グラフ

ホルモン剤やサプリメントを積極的に活用したいと思う一方で、その活用にブレーキをかけるのが副作用のリスクです。

個人差や投与量により違いがありますが、どんな薬にも副作用のリスクがあります。

処方薬の場合、副作用は「薬剤情報提供書」で確認できるため副作用を認識して服用することができますが、診察で行われる注射などの処置の場合は、副作用についてその場で確認できないことも少なくありません。

サプリメント

一方で、「サプリメントは100%安全」という考えは誤りです。例え、天然成分であっても人によってはアレルギー反応があることもあります。

またサプリメントは多くの会社から販売され種類も多数あるため、内容も品質も様々です。粗悪品が流通しているのも現状です。品質や副作用を心配する声は多く、効果を期待するものの活用するには不安があるという方が多いのではないかということがと考えられます。

さらに、副作用が心配で活用にブレーキをかける要因の一つとして、ホルモン剤・サプリメントともに副作用に関する噂が氾濫しており、正しい情報を得ることができないという背景があるのではないでしょうか。

薬・サプリメントを活用したい方は健康への意識が高い方が多いため、より副作用に対して正確な情報提供が求められているといえます。

2.ホルモン剤・サプリメントの正しい使い方を知る

産婦人科で処方される「女性ホルモン剤」。

女性ホルモン剤の活用については、薬に対する正しい知識が必要です。

また、サプリメントとの付き合い方で大切なことは「エビデンス」レベルの高さです。

この章では、ホルモン剤・サプリメントとは実際にどのようなもので、使用するにあたり実際にどのような影響をもたらすのか詳しくみていきましょう。

2-1.ホルモン剤

ホルモン剤

婦人科の更年期治療で多く使用されるホルモン剤については、これまで馴染みがなかった方にとっては、アンケートの結果のように、「ホルモン剤を使用すると太るのではないか?」「吐き気やめまいなどのつらい症状がでるのでは」など、副作用を気にされる方が多いことが推測できます。

つらい症状に悩まされているにも関わらず、副作用が心配で服用に踏み切れない…ということはもったいないことですので、正しい知識をつけることが大切です。

例えば、ピルに関していえば、一般的には「ピル=避妊」というイメージをもっている方が多いのではないでしょうか?

しかし、避妊目的だけではなく、子宮内膜症の症状緩和や月経周期の安定などにも使用されます。

また、ピルは、「低用量ピル」と言われますが、実際には、婦人科の更年期治療において用いられるホルモン補充療法(HRT)のエストロゲン量の約5〜6倍量の女性ホルモンが含まれています。

そのため、ピルを内服していた人が更年期になっても内服を継続することで、更年期症状の改善が期待できるといわれています。

一方、低用量ピルは、一度やめてしまうと40歳以降では再開することができないので、正しい情報を知らずに自己判断で服用を中止することで、急な更年期障害の出現などのデメリットが起こることもあります。

低用量ピルや更年期障害の治療目的で行われるホルモン補充療法(HRT)のリスクとして、血栓症と乳がんを発症する可能性があることを耳にした方もいらっしゃるかもしれません。

血栓症は、注意すべき副作用で、発症すると脳梗塞や肺塞栓症など重篤なものとなります。しかし、健康な女性が内服する場合は、妊娠出産後の血栓症よりもリスクは低いものです。

合併症がある場合はリスクもありますし、適正な内服の開始や継続の判断、また副作用のリスクを抑えるための生活習慣の実践などが求められます。

また、乳がんのリスクについては、様々な研究がありますが、現在のところはごくわずかにリスクを上げる可能性があるものの、飲酒などその他の要因と比較してもリスクは同等か小さいことが分かっています。

現在はリスクの低い方法も研究されており、安全な方法を選択できるようになっています。

▼産婦人科専門医に聞く、更年期症状を和らげる低用量ピル・ホルモン補充療法について

https://wellmethod.jp/drtakao_int02/

2-2.サプリメント

大豆と豆乳

更年期においては、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などの投薬治療の他、別の選択肢として、エクオールの摂取があります。ホルモン補充療法や漢方薬にプラスして使用を勧められることもあり、医師から推奨されているものもあれば、市中で販売されているものもあります。

これまでWELLMETHODでも取り上げてきたエクオールは、大豆製品に含まれる大豆イソフラボンのダイゼインが腸内細菌によって代謝され変化したものです。エクオールは、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た構造をしており、女性ホルモン様作用が現れるといわれています。

大豆イソフラボンやエクオールについては、それ自体が、血栓症や頭痛、嘔気など、女性ホルモンを含む薬剤で引き起こされる一般的な副作用のリスクを上げるという報告はありません。

乳がんについては、日本乳癌学会の「乳癌診療ガイドライン」においては、「食事によるイソフラボンの摂取は乳がん患者の予後を改善する可能性がある「エビデンスグレード(可能性あり)」とされています。

薬剤とサプリメントの違いとして、女性ホルモン・エストロゲンの受容体の種類の違いがあると考えられています。エストロゲン受容体には、αとβの2種類があります。

エストロゲンによって増殖するタイプの乳がんにおいて、α受容体はがん細胞の増殖を促進、β受容体はがん細胞の増殖を抑制する方に働きます。

自分自身の分泌する内因性のエストロゲンや薬剤として処方されるエストロゲンは、α受容体を刺激しますが、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインやエクオールは、β受容体の方をより刺激します。

ダイゼインよりもエクオールの方が、よりβ受容体の方を刺激しやすいとされています。

一方で、国産の大豆イソフラボンやエクオールのサプリメントは、大豆を原材料に作られています。そのため、大豆に対するアレルギーを持つ人は注意が必要です。

それでも美容や健康のために摂取するものですので、「どのような成分」が入っていて「どのくらいの量で」、「どのようなエビデンスがあるのか」を自分で判断できるようになることが大切です。

▼女性ホルモン様作用のある食品と取り入れ方

https://wellmethod.jp/female_hormone_like_action/

3.自分の体に耳を傾けて。正しい情報で上手に付き合いましょう!

アロマキャンドルとバラの花

今回は、WELLMETHODが行った更年期における不定愁訴のアンケート結果をもとに、私たち更年期世代の女性が知っておきたい薬とサプリメントの付き合い方についてご紹介させていただきました。

はじめは抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、女性ホルモン様作用のある薬やサプリメントは決して怖いものではありません。むしろ、更年期の症状を和らげる作用をもたらしてくれ、女性の味方になってくれます。

ただし、自分に合う薬やサプリメントに出会うためには、正しい情報を得ることが大切です。

薬剤は、薬理作用の反面で副作用のリスクもあるものですが、処方の際に医師や薬剤師からの説明をしっかり聞き、リスクとベネフィットを比較して内服することができます。

一方でサプリメントに関しては、比較的安全性が高いものだとしても、十分な情報が得られず、判断が難しいでしょう。

食品であるという性質上、自己判断で購入できるものの、品質の低い商品や機能性の不確かな商品も多く出回っているため、注意が必要です。

そのため、体と心をより健康に、そして毎日を楽しく過ごすためには、数多くある情報の中からより正しい情報を得ることが大切です。

薬もサプリメントも正しい情報を得て上手に使うことが、私たち40代以降の女性が自分らしく生活を送るためには必要なのだと改めて実感しました。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

続きを見る

著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

和重 景の記事一覧