こんにちは。
医師で予防医療スペシャリストの桐村里紗です。

日常的に使うスキンケア、ボディケア、ヘアケア用品などによく含まれている界面活性剤。
洗浄力を高めるものですが、肌荒れや痒みの原因になるケースがあります。

どんな製品を選べば皮膚を傷つけずに済むのでしょうか、また、肌荒れが起きた時の対策は?

1.界面活性剤と付き合う

界面活性剤

界面活性剤は、皮膚表面に付着した汚れや皮脂の分解物、古い角質などを取り除くことが目的で一般的に多くの洗浄剤に配合されています。

皮膚を清潔に保つために、古い角質や汚れを適切に落とすことは重要です。
でも、洗浄剤の使用で、痒みを感じる人が増えているという事実があります。

洗浄剤を多く使う主婦や美容師、医療従事者は、洗い過ぎによっておこる手湿疹(通称、主婦湿疹とも)に悩んでいる人の割合が多く、慢性的な痒みと湿疹に悩みがちです。
最近では、手洗いの励行で頻度が上がり、その上アルコール消毒の多用によってますます皮脂を落とすことがルーティンになり、肌荒れに悩む人が増えています。

手洗いや消毒を頻繁にしていると赤ちゃんや幼児であっても、皮膚のバリア機能が低下して痒みや湿疹を発症してしまうことも珍しくありません。

パーソナルケア製品(化粧品や日用品)で起こる皮膚有害反応の多くは、アレルギーよりも非アレルギー性の刺激によるものとされています。
刺激に対して、まず感じるのは、ツッパリ感、チクチク感、灼熱感、痒みという主観的な知覚です。

その感覚が持続することなく、皮膚にも変化がないと、「まぁいいか」と気にすることなく、また同じ洗浄剤を使ってしまいます。
そのうち、その感覚が持続すると、乾燥や発赤など目に見える形で皮膚が変化して、慢性的な痒みを伴う肌荒れになってしまいます。

界面活性剤と一言で言っても、種類があります。
特にトラブルになりやすいのが、「アニオン系界面活性剤」です。
特に、最近目立つ刺激性接触皮膚炎を誘発しやすいとされています。

【医師解説】接触皮膚炎とは?かぶれやすい部位別の原因と対処法

https://wellmethod.jp/contact-dermatitis/

2.界面活性剤の種類

界面活性剤は、水に溶かした時の状態で、4つに分類されています。
親水基という水と馴染む部分の違いによります。

1.アニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤)
2.カチオン界面活性剤(陽イオン界面活性剤)
3.両性界面活性剤
4.非イオン界面活性剤

1.アニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤)

界面活性剤 石鹸

・カルボン酸塩
いわゆる石鹸で、天然のヤシ油、パーム油、牛脂などが原料として用いられ、洗浄力、泡立ちおよび泡の安定性に優れている。

・硫酸エステル塩(AS、AESなど)
高級アルコール系と呼ばれる洗浄力の高いシャンプーや家庭用・工業用洗剤に使用される。

2.カチオン界面活性剤(陽イオン界面活性剤)

逆性石鹸とも呼ばれる。
繊維や毛髪などマイナスに帯電しているモノの表面に吸着し、柔軟性、静電気防止、殺菌作用などを発揮する。
ヘアリンス、柔軟剤、殺菌剤などに用いられる。

3.両性界面活性剤

ベタイン型は、洗浄力がマイルド。
洗浄力がマイルドなシャンプーやボディソープ、家庭用洗剤などに用いられる。

4.非イオン型界面活性剤

洗濯洗剤

水の性質に影響を受けづらく、浸透性、乳化性、洗浄性などの性能に優れる。
衣類用洗浄剤、乳化剤などに用いられる。

その他、天然の界面活性剤としては、生体の細胞膜を構成し、水と油をつなげるレシチンや自然界に多く存在するサポニンなどがあります。

3.界面活性剤による皮膚ダメージ

界面活性剤は、皮膚のケラチンタンパクと結合する特徴があり、洗浄しても完全に洗い流されず皮膚に吸着し残留しやすい性質があります。
最終的には皮膚のターンオーバーによって、垢となり落ちてしまいますが、皮膚の脂質構造やバリア機能に作用して、皮膚刺激になってしまいます。

皮膚刺激性が強いアニオン系界面活性剤であれば、1回の接触で刺激性接触皮膚炎を引き起こす可能性もあります。

皮膚刺激性が弱い界面活性剤の場合、1回の接触では接触皮膚炎を起こさなくても、繰り返し同じ部位に使用することで、接触皮膚炎を引き起こすことがあります。
1回の洗浄で、かさつきやつっぱり感、ピリピリ感を感じる場合は、繰り返し使用することは避けた方が無難です。

3-1.皮膚のバリア構造に与える影響

保湿をする手

保湿のために必要なのは、以下の3つの働きです。
1)皮脂膜ベールによる水分蒸散抑制作用
2)角層細胞内にある天然保湿因子
3)角質間の細胞間脂質(セラミドや脂肪酸など)による水分保持

健康的な皮膚の一番外側を守るのは、角層です。
ここは、角層細胞が層状に重なり合って配列し、層の間に水分が保持されています。
この水分を保持する機能が、保湿力の決め手です。

特に、アニオン界面活性剤の強い洗浄力によって、角層細胞間脂質、天然保湿因子が流出することがわかっています。
アニオン界面活性剤の代表で、多くの洗浄剤に配合されているラウリル硫酸ナトリウムの 5%水溶液を皮膚に処理すると、時間に比例して角質細胞間の層状構造に損傷をきたすことが報告されています。

また、低濃度では皮膚の角質内に侵入することはありませんが、高濃度の場合は、細胞障害性が生じることが指摘されています。

その際に、保湿機能の低下した皮膚に細胞間脂質であるセラミドを塗布すると、皮膚の水分保持機能が回復することが確認されています。

※参考「界面活性剤によって誘発される痒みと ケラチノサイトによる histamine 産生に関する薬理学的研究」

4.界面活性剤による肌荒れを防ぐには

界面活性剤は、ほとんどの洗浄剤に配合されています。
特に、洗浄力の高すぎるアニオン界面活性剤は、シャンプー・ボディソープ・洗顔・メイク落とし・家庭用洗剤など多くの洗浄剤に配合されています。

4-1.表示を確認する

まずは、表示を確認しましょう。

成分表示を確認する女性

1.アニオン系界面活性剤

原材料表示を見て「ラウリル硫酸ナトリウム」「ラウレス硫酸ナトリウム」と書いてあれば、洗浄力の高いタイプのアニオン界面活性剤です。
「スッキリ落ちる」「メイクがするんと落ちる」「さっぱり」「オイリー肌に」など洗浄力の高さを売りにした多くの製品に配合されている可能性があります。

これらを日常的に使用することで、つっぱり感や乾燥、痒み、刺激などを感じたら、洗浄力がマイルドな製品に切り替えましょう。

いわゆる昔ながらの石鹸でつっぱり感を感じたことがある人もいると思いますが、石鹸もアニオン界面活性剤に分類されますので使いすぎには注意しましょう。

アニオン界面活性剤の中でも「アミノ酸系」と呼ばれるものは洗浄力が比較的マイルドです。「ココイルグルタミン酸TEA」「ココイルグルタミン酸Na」「ラウロイルグルタミン酸Na」「ココイルグリシンK」「ココイルメチルタウリンNa」「ラウロイルサルコシンNa」などと表示されています。

2.カチオン界面活性剤

ノンシリコンと呼ばれるシャンプーには、コンディショニング効果が高く、静電気抑制や柔軟作用があるカチオン系界面活性剤が使われていることがあります。
殺菌作用もあるため、皮膚にはやや刺激になる可能性があります。

「ポリオクタニウム-7」「ポリオクタニウム-10」などと表示されていますが、洗浄剤の場合多くの場合はその他の界面活性剤と併用されています。

3.両性界面活性剤

肌の刺激性がマイルドで、コンディショニング作用もあります。
「コカミドプロピルベタイン」「ラウラミドプロピルベタイン」などと表示されています。

これらの界面活性剤の多くは、併用されています。
たとえば、洗浄力の低いものと同時に、ラウリル硫酸ナトリウムなどの洗浄力が高いものが配合されていることもあります。
原材料表示は、成分の多い順に並んでいます。
最初の方に洗浄力の高いものが表示されている場合は、洗浄力が高いと考えましょう。

4-2.過剰に洗わない

洗顔をする女性

そもそも、清潔を意識しすぎて洗い過ぎかもしれません。
汚れや皮脂は、温かいお風呂に入ったりシャワーを浴びるだけでも十分に落とすことができます。

油分を含むメイクをしている場合や整髪料を使用している場合、皮脂でべとつく場合、また汚れやすい陰部などは洗浄剤があった方が良いかもしれませんが、それ以外で、手洗いや体を洗う場合に必ずしも洗浄剤は必要ありません。

衛生を保つための手洗いにおいてもしっかりと流水で洗い流すことで、清潔を保つことができます。
特に刺激や乾燥を感じるのであれば、一度洗浄剤を使わないでみるのも一つの手だと思います。

乾燥すると、皮膚を病原性の微生物から守るための皮膚フローラのバランスが崩れてしまいすから、衛生のために逆効果です。
しっかりと保湿をして、潤いを保ちましょう。

4-3.保湿にはセラミドがおすすめ

セラミドイメージ

皮膚の水分や皮脂は、お湯で洗い流すだけでも落ちてそのままにしておくと蒸発していきます。
化粧水などで水分を補っても、すぐにまた乾燥してしまいます。

通常の水や化粧水などに含まれる水分は、水の構造同士がバラバラの「自由水」という状態にあります。
この状態で与えても、すぐに蒸発してしまい、潤いを与えることができません。
細胞間脂質・セラミドは、水分同士が手を繋ぐ「結合水」という状態で水分を保持することを助けます。

セラミドは、皮膚の外側から補うことで、ターゲット層の角層にしっかりと届きます。
また、食品から補給して、内側と外側とダブルで補給することもできます。
セラミドは、「皮膚バリア機能改善」目的の「機能性表示食品」として「肌の潤いを保つ」作用が確認された製品としても販売されています。

▼医師が手放せない!本当に潤う成分“セラミド”について

https://wellmethod.jp/measures-against-dryness/

5.まとめ

無意識に使っている洗浄剤は、実は皮膚のダメージになり、良かれと思ったケアが逆効果になっているかもしれません。
洗い過ぎも良くないと心得て、適度な洗浄と保湿で皮膚を守ってくださいね。

この記事の執筆は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか