こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

まだまだ朝晩の冷え込みは厳しいですが、日中は暖かいと感じる日も多くなってきました。
春はもうそこまで来ていますね。

世界的に見ても日本のように四季がはっきりしている国は珍しいそうです。
筆者は、厳しい冬を乗り越えたあとに訪れる春がとても好きです。

しかしそんな素敵な四季を問わず、一年を通して多くの女性を悩ますのが足のむくみ。

例えば、冬にブーツを履く機会がある方は、夕方になるとブーツのチャックが上がらない…そんな経験、多いのではないでしょうか?
ですが実は、むくみは冬だけに起こるものではありません。

「足のむくみがひどくて、気分が優れない」
「見た目が気になる…」
「年齢を重ねるにつれて、足がむくむようになった」

そんな足のむくみに関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?

今回は多くの女性を悩ます足のむくみの原因やむくみ解消に効果的な方法をご紹介します。

1.むくみって何?

「足がむくんでいる」とよく言いますが、そもそもむくむとはどういった状態なのかみなさまご存じでしょうか。

まずは血液の循環について説明します。

足のむくみ血流

血液は心臓から全身に送り出され、全身の細胞に酸素や栄養素を運ぶ役割があります。

また同時に送り出された血液は二酸化炭素や老廃物などの不要なものを回収し、心臓へ戻ります。血液の役割は体に必要なものを運搬し、不要なものを回収することです。

人体のほとんどは水分だというのはご存知の方も多いでしょう。

人間の体のおよそ60%は水分でできています。そのうち40%が「細胞内液」と呼ばれる細胞の中に含まれる水分で、残りの20%は「細胞外液」と呼ばれる細胞の外にある水分です。

通常であれば、細胞外液の5%が血液、残りの15%は「組織間液」と呼ばれる細胞と細胞の間にある水分です。

これらの水分は毛細血管を通じて細胞に酸素や栄養素を届けたり老廃物を除去する役割を担いながら、細胞や血管の中を行き来して体内の水分バランスを保っています。

また、循環器系は、血管系だけではなく、リンパ系もあります。
細胞と細胞の間の水の多くは、静脈に流れて心臓に戻りますが、一部は、一度リンパ管に送られてから、最終的に静脈に戻ります。

しかし、血液やリンパの流れが何らかの原因で滞ったり、細胞内外の水分のやり取りのバランスが崩れ、細胞と細胞の間に水が溜まり増加した状態を「むくみ」といいます。

一般的に「むくみ」と呼ばれていますが、医学用語では「浮腫(ふしゅ)」といいます。

2.足がむくむ原因とは?

足のむくみは、血液の流れかリンパの流れがさまざまな原因で滞ることで起こります。

一つのことが原因というよりは、いくつかの原因が重なっていることが多いのです。

足のむくみに悩むみなさま、これからご紹介する原因に心当たりがないかチェックしてみましょう。

2-1.ふくらはぎの筋力の低下

足のむくみ筋力低下

足のむくみを悩みとして挙げるのは一般的に男性よりも女性のほうが多いです。

その理由の一つとして考えられるのは、男性に比べ女性の方が筋肉量が少ないということがあります。

血液を心臓へ戻すためには、重力に逆らって下から上へ血液を流す必要があります。その重要な役割を果たしているのがふくらぎなのです。

ふくらはぎの筋肉には血液を心臓へ戻すポンプ機能があるのですが、この機能がうまく働かなくなると足のむくみが生じます。

2-2.長時間同じ姿勢を続ける

立ちっぱなしや座りっぱなしなど長時間同じ姿勢を続けたり運動不足が続くと、ふくらはぎの筋力が使われずポンプ機能が低下してしまいます。

もともと筋肉量が少なかったり、同じ動作を長時間続けるなどの生活環境によって筋力がさらに低下すると血液を戻すためのポンプ機能がうまく働かなくなり、足のむくみの原因となります。

2-3.体の冷え

体の冷えも、足のむくみの原因の一つです。体が冷えることで血流が低下し、余分な水分を溜め込みやすくなってしまいます。

とくに足首周りの冷えはふくらはぎなどの筋肉を硬くし、むくみを引き起こしてしまう可能性があるのです。

2-4.塩分の過剰摂取

足のむくみ塩分過剰摂取

体には体内の塩分濃度を一定に保つ機能があります。

そのため、塩分を過剰に摂取すると体の塩分濃度を薄めようと体内に水分を溜め込むようになります。

2-5.リンパ浮腫

リンパ管の流れが滞り、リンパ液をうまく静脈中に戻すことができずに発生するのが、リンパ浮腫です。

リンパ浮腫は、原因がない「特発性」と、ケガや、ガンの手術などによってリンパ管を切断したり、流れが滞ることによって起こる続発性のものに分けられます。

多くは、続発性です。代表的なものとしては、乳がんの術後です。手術時に脇の下のリンパ節を郭清することで、術後にリンパ浮腫が起こりやすくなります。

リンパ浮腫は、継続的なリンパドレナージュが必要になりますが、特殊な状態です。

今回は日常で起こりやすいむくみの解消法についてお伝えします。

3.足のむくみを解消するには生活習慣を見直すことが大切

足のむくみ

むくみの原因は毎日の習慣が大きく関わっています。

これまで行なってきた習慣を見直すことでむくみの解消にもつながり、またむくみの予防にも効果があります。

3-1.ふくらはぎのストレッチ

ふくらはぎのストレッチを行うことで、ふくらはぎの筋肉が刺激されます。その結果、足先まで血流が良くなり体が温まります。

椅子に座ったままできるストレッチをご紹介します。

1. 椅子に浅く座ります。
2. 両足のかかとを床から離し、つま先がだけが床に着くようにします。
3. 次にかかとがしっかり床に着くように、足を下ろします。
4. かかとの上げ下げを10回繰り返し行ないます。

椅子に座ったままできるため自宅でテレビを見ながら、オフィスでも手軽に行えるので、忙しい方におすすめです。

3-2.こまめに動く

1時間以上同じ姿勢をとらないように意識的に動くことが大切です。
運動不足になりがちがな方は、エレベータを使わず階段を利用して足の筋肉を使うようにしましょう。

3-3.冷え対策を行う

体が冷えると血行が悪くなりむくみにつながります。とくに足はむくみやすいため、足首からふくらはぎまで冷やさないことが大切です。

足首にはレッグウォーマーをしたり、体が冷えないようにカーディガンやひざ掛けなどを使うようにしましょう。

寒い日はゆっくり温かい湯船に浸かったり、時間がないときは足湯をするだけでも冷え対策になります。

体の外側から温めるだけではなく、体の内側から温めることもおすすめです。
内側から体を温める方法はこちらをご参照ください。

▼更年期はさらに「冷え」やすい!? 日頃から体を温めるための6つの対策

https://wellmethod.jp/menopausal-cold/

3-4.食生活を見直す

塩分の過剰摂取はむくみだけではなく、健康にも大きな影響を与えてしまいます。

現代の食生活は塩分を多く摂取してしまいがちです。

例えば、平成30年度の国民健康調査では、食塩の摂取量の実態は、20歳以上女性は9.3g、20歳以上男性は11gという報告がありますが(※)、WHOのガイドラインでは男女とも5gで、日本の摂取目標量は女性で6.5〜7g、男性は7.5〜8gという状況で、世界に比べて日本人は塩分の摂取量が多いという事実があります。

塩分の摂り過ぎに気をつけることは大切で、食材を上手に選ぶことで体内の塩分を効率的に排出することができます。

足のむくみ解消にきのこ

キュウリや冬瓜などの夏野菜・スイカや・柿、南国のフルーツ、海藻類やきのこ類などは塩分であるナトリウムの排出を助けるカリウムが豊富に含まれています。

カリウムは腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し、尿中への排泄を促進します。
海藻類は、血管を拡張させるマグネシウムも多く含みますので、積極的に摂りましょう。

また塩分は、自炊をしていればコントロールができますが、例えばコンビニ食を摂ると一気に摂取量が上がってしまいます。

カリウムを含む食品を摂取するほか、塩分が多めになってしまう場合には、水分をしっかり摂取した上で、汗をかくような軽い運動や入浴をしたりしましょう。

(※)参考
https://www.mhlw.go.jp/content/000615343.pdf

4.むくみをすっきり解消! 自分でできる簡単ケア

つらい足のむくみには自分でできるセルフケアも効果的です。

マッサージを行うことでむくみを解消することができ、またリラックス効果も期待できます。

4-1.ツボ押し

足のむくみを感じたときにぜひ行なってほしいのがツボ押しです。

ツボを押すときは力を入れてしまいがちですが、指の腹で柔らかくほぐすように押しましょう。痛みを感じるほど強く刺激するのは避けてください。

1.三陰交(さんいんこう)

三陰交

内くるぶしの頂点から指4本分上がったところで、骨と筋肉の境目に位置するのが三陰交です。全身の血の巡りを良くし、冷えやむくみ・生理痛などの改善に効果があり、婦人科系のトラブルを解決するツボでもあります。

2.陰陵泉(いんりょうせん)

陰陵泉

ひざの下の内側の骨を上から下へとたどると、骨が大きく曲がって細くなっているくぼみが陰陵泉です。余分な水分の代謝を促し、むくみを改善します。

その他にも下痢や食欲不振・ひざの痛みの軽減にも効果が期待できます。

3.太谿(たいけい)

太谿

内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみにあるのが太谿です。触ると脈拍を触れることができるでしょう。

下半身の冷えやむくみに改善効果があります。足首の動きを良くする上でも効果的です。

ツボ押しは入浴後など体が温まり、皮膚が柔らかくなっている状態で行うようにしましょう。心身ともリラックスした状態で行うことで、よりツボを刺激しやすくなります。

4-2.入浴後のマッサージ

入浴後のマッサージはむくみ解消に効果的です。クリームや乳液を使って、足のマッサージを行ないましょう。

1. 足の先から足首を通り上へ、手のひら全体でクリームや乳液をつけます。
2. 足の指の間に手の指を絡めるようにして組み、足首を大きく左右に回します。
3. 2と同様に足の指に手の指を組んだまま、足首をゆっくり伸ばしたり、曲げたりをそれぞれ5秒間行ないます。
4. 次は手でこぶしを作り、こぶしで土踏まずをツボ押しをするように刺激します。
5. 足首からふくらはぎ、膝下まで手の指で軽く圧をかけるように押します。最後は膝下のリンパ節へ老廃物を流すようなイメージでマッサージします。
6. 反対の足も同様に行ないましょう。

※注意点としては、痛いほど押さないことです。あまり圧をかけすぎるとリンパ管を潰してしまうため効果が出ません。軽く皮膚が凹む程度の圧で十分です。

膝下リンパ

▲膝下リンパの位置

5.こんなときは医療機関を受診しましょう

むくみがつらいなと感じても一晩寝ると回復するような一過性のむくみであれば、これまでご紹介した改善法で予防や改善が期待できます。

しかしむくみが寝ても戻らない、むくんでいる部分を指で押すとへこんだままなかなか元に戻らない、足が象のように太くなってしまう、など明らかな異常を感じた場合は、医療機関を受診しましょう。

慢性的なむくみの背景には、心臓や腎臓・肝臓などになんらかの病気が隠れている可能性が考えられます。

6.気になる足のむくみを解消して健やかな毎日を送りましょう!

足のむくみを解消

年代を問わず多くの女性が足のむくみに悩まされています。

足のむくみの原因を知ると、冷えや筋力の低下・デスクワークなど働く女性にとっては心当たりがあるものばかりですよね。

足のむくみは食生活や生活習慣をはじめ、入浴後のツボ押しやマッサージが大切です。

自分にかける時間を確保することで心にゆとりができて、心身共に健康的なライフスタイルを実現できるのではないでしょうか?

日々、自分の体と向き合うことが必要なのかもしれません。

たかが足のむくみと思わず、むくみ解消の改善法は健康にもつながります。

さっそく毎日の習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

・内科医・認定産業医
・tenrai株式会社代表取締役医師
・東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 道徳感情数理工学講座 共同研究員
・日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・新刊『腸と森の「土」を育てるーー微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)
  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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