こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

突然ですが、みなさまは「子宮脱」という言葉をご存知でしょうか。

筆者の友人は、子どもを出産して一年後、トイレで用を足して拭こうとしたところ、ピンポン玉のようなものが膣から飛び出していてとても驚いたと話してました。

筆者もその話を聞いたときは驚いたのですが、それは出産経験のある女性なら誰もがリスクのある症状だったのです。

子宮脱は骨盤臓器脱の一種で、子宮が膣外に出てきてしまう病気です。

しかも子宮脱は出産経験の他にも、加齢や立ち仕事、重い荷物を持ったときに発症することがあります。

今回はそんな子宮脱の詳しい症状や原因、自分で予防できるトレーニング方法などを詳しく紹介します。

1.子宮脱とはどういう病気?

子宮脱イメージ ピンポン玉

子宮脱とは、子宮が膣に下垂することで、子宮の一部が膣外(外陰部)に出てきてしまう病気です。

骨盤臓器脱という疾患のひとつで、子宮の他にも膀胱、直腸といった骨盤内の臓器が外に出てくることもあります。

子宮脱は女性特有の病気であり、具体的な症状としては次のようなことがあります。

・陰部にピンポン玉のようなものが出てくる
・座ったときにボールの上にのっているような感覚がある
・陰部の間に何か挟まっているような感じがある

また、子宮脱が起こるとトイレが近くなったり、尿漏れや便秘といった排便障害が起きたりすることも多いです。

骨盤の下の方を骨盤底といいます。筋肉や器官や組織をつないでいる結合組織などの支持組織で出来ており、骨盤内の内臓を支えています。

子宮脱の主な原因は、出産や加齢による骨盤底を支える筋肉などのダメージや、骨盤底筋の筋力が低下することです。

これにより、支えが弱くなることで、臓器が下がりやすくなり、子宮脱が起こりやすくなります。

1-1.出産経験のある女性は要注意

出産経験のある女性

子宮脱は、出産経験のある女性のおよそ4割が発症するともいわれています。

とくに出産時に次のようなケースであった人は、出産時に骨盤底が傷ついている可能性があるため、子宮脱を引き起こすリスクが高いのです。

・経腟分娩を経験している
・難産だった
・3500グラム以上の大きな赤ちゃんを出産している
・多産、高齢出産
・会陰切開や鉗子分娩、吸引分娩を経験している

まだ子宮脱を経験していないくても、上記のような出産経験があるのなら、いまから子宮脱を予防するトレーニングを行った方が良いでしょう。

1-2.出産していなくても発症するケースもある

また、出産の有無とは関わらず、子宮脱になる危険性はあります。とくに次のことが当てはまる人は気を付けましょう。

・運動不足である
・肥満である
・閉経している(エストロゲン低下)
・便秘に悩んでいる
・慢性的な気管支炎や喘息がある
・長時間立ち仕事をしている
・重い物を持つことが多い

子宮脱は、運動不足による骨盤底筋の筋力低下で引き起こされることもあります。

また立ち仕事や重いものを持つことでも弱った骨盤底に圧がかかりやすく、子宮脱になるケースもあります。

つまり、ゆらぎ世代の女性は、誰もが子宮脱のリスクがあるのです。

2.産後に子宮脱を放置してしまう人も多い

子宮脱は陰部に違和感が生じる病気であることから、恥ずかしがって受診を控える人も多いです。

また飛び出た臓器は自分で押し戻せることもあり、自分で適当に処置をしてそのまま過ごしてしまう人もいます。

しかしそのように子宮脱を放置してしまうのは、のちに大きなトラブルにつながることもあります。

2-1.子宮脱を放置するとどうなる?

子宮脱をそのまま放置してしまうと、次のようなトラブルを引き起こすリスクがあります。

・排尿困難や排便困難が起きる
・陰部のかぶれや痛みが生じる
・細菌感染が起こり、性機能障害などが引き起こされる
・痛みや出血により歩行が困難になるケースも
・子宮が飛び出したまま戻らなくなる

子宮脱は症状が軽い場合は、4章で紹介する骨盤底筋トレーニングで改善することもあります。

しかし軽症かどうかは医師に診てもらわないとわかりません。

一度でも子宮脱が起きた場合は、すぐに泌尿器科や産婦人科に相談しましょう。

子宮脱で婦人科受診

2-2.子宮脱の戻し方とは

子宮脱が起きた場合、応急処置として自分で処置する方法もあります。

膣から出た臓器はそのままにしておくと感染症を起こすこともあるので、臓器を体内に戻すことが大切です。

トイレやお風呂で子宮脱に気づいたら、次のように処置をしましょう。

1. 手を清潔に洗う
2. 2本の指で子宮をやさしく押さえ、膣に向かって押し上げる

子宮脱を体内に戻したあとは、フェミクッションという装置をつけることも大切です。

詳しくは3章で説明しますが、フェミクッションの利用で臓器が下がりにくくなり、子宮脱を起こすリスクを緩和することもできます。

3.子宮脱の治療方法

子宮脱は症状によって治療法が異なります。

軽症の場合は体操で予防したり、ペッサリーという器具を使って対応することが可能です。

反対に重度の子宮脱の場合、完治させるには手術が必要になります。

まずは医療器具や手術で治療する方法について見ていきましょう。

3-1.軽度の子宮脱にはペッサリーが有効

ペッサリーリングイメージ

子宮脱の症状が軽い場合、ペッサリーというリングを使う治療が有効です。

ペッサリーはリング状になっている医療器具であり、それを腟の中に入れてることで子宮がリングに引っかかり下がってこなくなります。

手術と違って短時間での治療も可能なことから、軽度の子宮脱にはペッサリーを用いることも多いです。

ただペッサリーは2~3ヶ月毎に病院で膣洗浄やリング交換を行う必要があります。

根本的な子宮脱治療ではないため、定期的な診察が必要になります。

3-2.重度の子宮脱は手術が必要

子宮脱の症状が重かったり、ペッサリーで十分に対応できなかったりする場合は手術を行います。

従来は、子宮を摘出して周囲の靭帯や組織を締め上げる手術で脱出した骨盤臓器を挙上していました。ただし、再発率が高く、膣内腔が狭くなり、性行為が困難になるなどの問題がありました。

そのため、現在では、メッシュを入れるTVM手術を行うことが多くなりました。
メッシュを膀胱留置して、子宮頚部と固定することにより骨盤内に臓器を保つ方法です。

1週間程度の入院で行うのが一般的です。
子宮摘出の必要がなく、再発しにくいこと。
また、膣の形が保たれる。傷口が小さくて済むなどのメリットがあります。

3-3.フェミクッションという方法も

自分で子宮脱を対処する方法として「フェミクッション」という医療器具を使う方法もあります。

フェミクッションは、子宮脱を予防するための特殊なクッションがついた下着のような医療器具です。

フェミクッションを着装すると、落ちてくる臓器を押し上げ、外部のクッションが膣口をふさいでくれる効果があります。

フェミクッションは、根本治療ではありませんが、合併症などの理由で手術ができない人や、定期的な通院が難しくペッサリーが装着できない人に向いています。

4.子宮脱は体操で治るのか?

ストレッチをする女性たち

子宮脱に関してよく見聞きするのが「子宮脱を体操で治す」といった情報です。

実は発症してしまった子宮脱を体操で完治させることはできません。しかし、毎日トレーニングをすることで症状を軽くすることは可能です。

また、子宮脱を経験していない女性は、トレーニングを続けることで今後起きるかもしれない子宮脱を予防することができます。

とくに出産経験のある女性や、女性ホルモンの影響が出やすい40歳以降の女性は、これから紹介する骨盤底筋トレーニングが有効です。

4-1.骨盤底筋トレーニングで子宮脱を予防しよう

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋トレーニングは、筋力が衰えた骨盤底筋を鍛える運動です。

具体的には尿道や膣の引き締める力をつけるトレーニングであり、日々継続して行うことにより、骨盤底の筋力をつけ、臓器が下がるのを予防できます。

トレーニングを行う際には次のポイントを抑えておきましょう。

1. 動きはゆっくりと行う。
2. お腹に力を入れるのではなく、肛門や膣を締めるながら行う
3. 毎日継続してトレーニングをする

骨盤底筋トレーニングは、毎日継続することで効果がでます。

座ったり寝ながらできたりする動きもあるので、まずは継続してトレーニングを続けましょう。

▼女性の尿もれを防ぐための骨盤底筋トレーニング6選

https://wellmethod.jp/pelvic-floor-muscles/

骨盤底筋のトレーニングはいろいろありますが、最近では、スマホのアプリと連動させて使用するデバイスタイプのトレーニンググッズもあるようです。

▼40代からのセクシャルウェルネス!話題のフェムケア・フェムテックグッズを調査vol.3

https://wellmethod.jp/femtech_03/

4-2.まずは基本の骨盤底筋トレーニング

基本の骨盤底筋トレーニングは、テレビを見ながらできたり、布団の上で寝ながらできたりします。

ハードな動きがなく体の負担も少ないので、スキマ時間を見つけて積極的に実践していきましょう。

1.仰向けで行うトレーニング

まずは寝た状態で行える、簡単な骨盤底筋トレーニングの紹介です。

骨盤底筋トレーニング

①仰向けの姿勢になり、両膝を軽く曲げた状態で立て、肩幅に開きます。このとき、体をリラックスさせましょう。

②下腹部の上に片手を乗せ、10〜20秒程度を目安としてじわじわと肛門や膣をお腹の方に引き上げるように締めます。きつく感じる方は、5秒程度から始めましょう。

③締めたあとは、力を抜いて40〜50秒程度、体をリラックスさせます。

④「締める」「ゆるめる」を、1分間のサイクルで10回繰り返しましょう。

合計10分を目安に行います。

2.床に座った姿勢で行うトレーニング

骨盤底筋トレーニング

次に紹介するのは、床に座った状態で行うトレーニングです。やり方を覚えておけばテレビを見ながらでもできます。

①壁に軽くもたれ、両膝を軽く開いて床に座ります。このとき、片手を下腹部にあて、体をリラックスさせましょう。

②その姿勢で10〜20秒程度、肛門や膣をお腹の方にじわじわと引き上げるように締めていきます。きつく感じる方は、5秒程度から始めましょう。

③締めたあとは、力を抜いて40〜50秒程度、体をリラックスさせます。

④「締める」「ゆるめる」を、1分間のサイクルで10回繰り返しましょう。

合計10分を目安に行います。

4-3.基本ができたら「応用編」に挑戦

応用編と聞くと、ややハードルが高いイメージもありますが、実際はそれほど難しくありません。

ここでは椅子に座ってできるトレーニングと、立って行うトレーニング方法を紹介します。

慣れてきたら外出先や職場でもできる運動なので、思い立ったときにぜひ実践しましょう。

1.椅子に座って行う方法

骨盤底筋トレーニング

①椅子の背もたれに腰と背中がしっかりとあたるように深く腰掛けます。足を軽く開き、片手を下腹部にあて、体をリラックスさせましょう。

②その姿勢をキープしたまま、10〜20秒程度、肛門や膣をお腹の方にじわじわと引き上げるように締めていきます。きつく感じる方は、5秒程度から始めましょう。

③締めたあとは、力を抜いて40〜50秒程度、体をリラックスさせます。

④「締める」「ゆるめる」を、1分間のサイクルで10回繰り返しましょう。

合計10分を目安に行います。

2.立って行う方法

骨盤底筋トレーニング

①腰の高さくらいのテーブルのそばに立ち、足を肩幅に開きます。

②両手も肩幅に開いた状態でテーブルにつき、軽く前に傾いた姿勢をとります。

③両手に上半身の重みをかけながら、10〜20秒程度、肛門や膣をお腹の方にじわじわと引き上げるように締めていきます。きつく感じる方は、5秒程度から始めましょう。

④締めたあとは、力を抜いて40〜50秒程度、体をリラックスさせます。

⑤「締める」「ゆるめる」を、1分間のサイクルで10回繰り返しましょう。

合計10分を目安に行います。

5.子宮脱はある日突然やってくる!? 骨盤底筋トレーニングで筋力を鍛えよう

骨盤底筋トレーニングで子宮脱をケアした女性

骨盤底筋トレーニングは、子宮脱を経験した人に有効なのはもちろん、まだその経験がない女性にも大きな予防策になります。

また、トレーニングは子宮脱の改善や予防だけでなく、ゆらぎ世代に多い尿漏れ対策としても有効です。

自分は大丈夫と思っていても、子宮脱や尿漏れはある日突然は起きることが多いです。

子宮脱を経験した女性のなかには、ある日突然臓器が下がる違和感を感じたり、膣内から異物が飛び出たりと、驚くような経験をする人が少なくありません。

そのような症状を起こしたり悪化させたりしないためにも、今日から骨盤底筋トレーニングを行い、自分の体をしっかりといたわっていきましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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