こんにちは、WELLMETHODライターの廣江です。

「最近、体重が増えてきた…」
「ぽっこりお腹が気になる」

40代以降になるとこのような悩みを抱える女性は少なくありません。

とくに暴飲暴食をしているわけでもないのに体重が増えてきたり、お腹がぽっこりとして体型が変わってきたりと自分の体型の変化にショックを隠しきれない…というようなことはありませんでしょうか。

体型が崩れてくると見た目年齢も老けて見られます。

しかしそれ以上に気になるのが健康面です。

たとえば、年に一度の健康診断で、「昨年よりも腹囲が大きくなっている!」と、毎年の健康診断にドキドキする…といったこと、ゆらぎ世代の女性は少なくないのではないかと思います。

腹囲が大きくなっていく原因のひとつは内臓脂肪です。内臓脂肪が多いと健康面においてさまざまなリスクを引き起こしてしまいます。

内臓脂肪というと男性に多いイメージがありますが、実は更年期世代の女性も増える傾向があります。

今回は、なぜ年齢を重ねていくと内臓脂肪がつきやすくなるのか、また内臓脂肪の蓄積を改善するために見直したい3つのポイントについてご紹介します。

1.内臓脂肪とは?

リンゴ型肥満

人が生きていくためには栄養が不可欠です。

その栄養の大部分を毎日の食事から摂取しています。

食事からの栄養で活動に必要なエネルギーを産生していますが、エネルギーとして使われなかった糖や脂質などの栄養素は脂肪となり体に蓄積していきます。

その中でも胃や腸などの臓器のまわりについた脂肪が「内臓脂肪」といわれるものです。

1-1.内臓脂肪と皮下脂肪の違い

健康な体づくりをするためには肥満にならないように心がけることが大切です。

自分が肥満かどうかはBMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]という計算式で算出することができ、その値が25以上であると肥満とされています。

BMIは男女とも22.0が標準とされており、統計上肥満との関連が強いとされる糖尿病・高血圧・脂質異常症にもっともかかりにくい数値とされています。

BMI

肥満には「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」に分けることができますが、BMIの値だけではどちらのタイプであるかはわかりません。

1.内臓脂肪型肥満

内臓脂肪型肥満は内臓周りの上半身に多く脂肪がつくことからリンゴ型とよばれることがあり、以下のような特徴があります。

・おなかの内臓周辺に脂肪が蓄積する
・内臓脂肪はつきやすいが、減らしやすい
・高血圧・高血糖・脂質異常症などのリスクを抱えやすい
・男性に多い傾向がある

2.皮下脂肪型肥満

皮下脂肪型肥満は全身の皮下に脂肪がつきますが、傾向として下半身に多く脂肪がつくことから洋ナシ型と呼ばれることがあり、以下のような特徴があります。

・皮膚と筋肉の間に脂肪が蓄積する
・脂肪がじわじわとつき、減らしにくい
・二の腕やお尻、太ももなどに脂肪がつきやすい
・女性に多い傾向がある

2.エストロゲンと肥満には関係があるの?

内臓脂肪 健康診断表

厚生労働省が令和元年11月に実施した「国民健康・栄養調査」では、肥満といわれるBMI25以上の人の割合を男女別に20代以降の年代ごとに報告されました。

男性は40代が39.7%ともっとも高い割合となっていますが、女性は20代以降、年齢を重ねるごとにその割合が高くなり60代が28.1%ともっとも高くなっています。

参考)厚生労働省HP:令和元年「国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html

では、女性が年齢を重ねていくにつれ肥満の割合が高くなることを踏まえた上で、エストロゲンと肥満の関係性をみていきましょう。

エストロゲンとは女性ホルモンの一つです。

女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つが存在します。プロゲステロンはエストロゲンの作用を調整する働きを持っているのですが、更年期世代になるとエストロゲンに先立ちプロゲステロンの減少が始まるため、エストロゲンによる作用を程よく収めることが難しくなりむくみや体重増加などの症状が目立ちやすくなります。

▼更年期世代がむくみやすい原因は? 日常で取り入れたい3つの習慣

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2-1.エストロゲンの特徴

エストロゲンにはE1(エストロン)・E2(エストラジオール)・E3(エストリオール)の3種類があります。

主にE2(エストラジオール)には、脂肪蓄積や塩分水分貯留を促進する作用があります。

エストラジオールは、エネルギーとして活用されずに余った脂肪を皮下脂肪として蓄えるため、エストロゲンが優勢の場合は下腹部や太ももに脂肪がつきやすく、女性に多いとされる「洋ナシ型」体型になる傾向があります。

2-2.プロゲステロンの特徴

もう一つの女性ホルモンであるプロゲステロンには、子宮内膜を妊娠しやすい環境を整えるという働きの他に、エストロゲンを抑制する作用があります。

プロゲステロンが低下する原因は、更年期以外にも生活習慣や食生活の乱れ・運動不足などがあげられます。

またプロゲステロンが低下すると相対的にエストロゲンが優勢になるという現象が起きます。

2-3.更年期におけるエストロゲンとプロゲステロンの関係性

更年期を迎えると閉経に向けてエストロゲンが減少していきます。
またそれと同時にプロゲステロンの分泌も減少し、やがて停止してしまいます。

実はこのようなプロゲステロンの分泌不全は、閉経の前にみられるエストロゲンの減少より先に起こるため、閉経まで相対的にエストロゲンが優勢になります。

このプロゲステロンのによる調整が乏しくエストロゲン優勢の状態では、エストラジオールの働きによって脂肪蓄積と水分貯留を促進することとなり、洋ナシ型の肥満になりやすくなるのです。

洋梨型肥満

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3.更年期に内臓脂肪型肥満を引き起こす原因とは?

内臓脂肪型肥満は、一般的に40代以降の男性に多いとされています。

しかし更年期の女性は、皮下脂肪型肥満から内臓脂肪型肥満に移行しやすい年代でもあります。

ではなぜ、更年期の女性は内臓脂肪型肥満を引き起こしてしまうのでしょうか?

その原因はエストロゲンと男性ホルモンの「テストステロン」が関係しています。

3-1.エストロゲンの減少

エストロゲンは、先述しましたように、脂肪の蓄積・水分貯留を促進する作用がありますが、コレステロールの値を正常化する働きもあります。

閉経後にコレステロール値が上昇したという話を耳にしたことがある方も多いと思いますが、その原因はエストロゲンが減少したことによる影響によるものです。

エストロゲンが減少すると、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が上昇しやすくなり、脂質代謝異常症や内臓脂肪が蓄積するリスクが高くなります。

また、私たちの体内には、脂肪細胞から分泌され、脳の満腹中枢に作用し、食欲を抑制する「レプチン」という抗肥満ホルモンが存在します。

エストロゲンにはレプチンの分泌を促進する働きがあるため、エストロゲンが減少するとレプチンの分泌も減少してしまい肥満につながってしまうのです。

3-2.テストステロンの相対的高値

更年期の女性の特徴としてみられるのは、エストロゲンやプロゲステロンの分泌の急激な減少です。

女性の場合はこの2つのホルモンばかりが注目されますが、女性にも男性ホルモンであるテストステロンが存在します。

このテストステロンは、更年期に急激に減少するのではなく、緩やかに下降していきます。

そのため、更年期になるとテストステロンが相対的に高くなります。

その結果、肥満に対して保護的な役割があると考えられている性ホルモン結合グロブリン(Sex Hormone-Binding Globulin; SHBG)が次第に低下し、肥満を助長してしまうのです。

男性ホルモンであるテストステロンが優勢な状態になることで、男性に多くみられる「内臓脂肪型肥満」になる傾向も加わります。

3-3.運動量・筋力の低下に伴う基礎代謝量の低下 

腹筋をする女性

年齢を重ねていくと個人差はありますが、日常の活動量の低下がみられます。活動量が低下すると筋力や運動機能の低下につながります。

筋肉量が減少すると基礎代謝量も低下してしまいます。

日本人筋肉量の加齢による特徴の報告(※)では、20代と80代の女性を比較した場合、もっとも筋肉量の低下がみられるのは下肢で、次に全身、腕、上腕の順に減少がみられます。

参考)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/47/1/47_1_52/_pdf

日本人は、欧米人に比較し、中高年女性の筋肉量の少なさが問題となっています。

フレイルやサルコペニアと呼ばれ、加齢に伴い筋力が衰え、疲れやすくなり家に閉じこもりがちになるなど、年齢を重ねたことで生じやすい体を支える機能の衰えのことを言います。

一見スマートで痩せているように見えて、内臓と皮下の脂肪は多く、実は筋肉が痩せている、日本人に一番多いタイプです。

3-4.エネルギーの摂取量が消費量よりも大きい

人が生きていくために必要なエネルギーを基礎代謝といいます。

基礎代謝量は18歳にピークを迎え、50代から徐々に減少していきます。

加齢による筋肉量の低下により基礎代謝量が落ちているにもかかわらず、これまでと同じような食事をしていると摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってしまいます。

余ったエネルギーは体脂肪となり体に蓄積されるため、女性でも内臓脂肪が蓄積してしまいます。

3-5.自律神経の乱れ

更年期に体重が増える原因として、自律神経の乱れの影響が考えられます。

自律神経が乱れると精神的に不安定になるため、イライラを解消しようと暴飲朝食になる傾向が強くなり、肥満を招く可能性があります。

暴飲暴食をする女性

3-6.生活・食習慣の乱れ

生活習慣や食生活が乱れることで自律神経も乱れてしまいます。

また睡眠不足になると食欲を刺激するグレリンというホルモンの分泌が増加し、食欲を抑制するレプチンが減少してしまします。

その結果、肥満につながってしまう可能性が大きくなってしまうのです。

4.内臓脂肪を蓄積させないための3つのポイント

更年期を迎えた女性は、エストロゲンやプロゲステロン、テストステロンなどのホルモンの作用により内臓脂肪が蓄積しやすい状態となります。

内臓脂肪を蓄積させないためにはホルモンバランスを整えたり、基礎代謝を上げることが大切です。

4-1.適度な運動

ウォーキングをする女性

基礎代謝を上げ筋肉量を増やすために効果的な運動は筋トレです。
脂肪を効率よく燃焼してくれる運動は有酸素運動です。

更年期世代の女性は仕事や家事・育児・介護などに忙しくなかなか運動を行う時間が確保できない方も多いと思います。

そういう場合は、隙間時間に「体を動かす」ことを意識してみることで、運動を行う機会を確保することができます。

・エレベーターを使わずに階段を使用する
・買い物に歩いていく
・最寄りの駅から一駅手前で下車し歩く
・電車やバスでは席に座らず立つ
・隙間時間にスクワットを行う

フレイルの予防とアンチエイジングには、筋トレが不可欠です。
ウォーキングなどの有酸素運動だけではなく、スクワットなど特に下半身の関節をしっかり動かす筋トレを生活に取り入れましょう。

4-2.バランスの良い食事

肥満を予防するためには栄養バランスのとれた食事が大切です。

またその中でもしっかりとエネルギーを作ることができる栄養素を摂取することや脂質の取りすぎに気をつけましょう。

栄養素の表

筋肉量を多くするには、運動とともにタンパク質の摂取も大切です。
良質なタンパク質を十分摂るように意識しましょう。

牛肉など赤身の動物性タンパク質よりも、豆類や雑穀、野菜がもつ植物性タンパク質と魚介類からの摂取を多くするほうがより健康的です。

また腸内環境を整えることも重要です。

腸内環境を整えるためには、発酵食品などの生きた有用菌を含むプロバイオティクス・オリゴ糖や食物繊維などの腸内細菌のエサとなるプレバイオティクスの両方を摂取するシンバイオティクスを意識した食事を心がけましょう。

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4-3.質の良い睡眠

睡眠不足の人は肥満傾向にあるといわれています。

睡眠時間は7~8時間、確保することがベストです。成長ホルモンがもっとも多く分泌されるのは22時です。

22時に寝るのが難しい方でもなるべく早めに寝るように心がけましょう。

またスマートフォンやパソコンに使われるブルーライトは脳の交感神経を刺激するため、寝る直前まで使用することで眠りの質が落ちてしまう可能性があります。

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5.内臓脂肪を減らすためにもっとも大切なことは、あなたの気持ち!

内臓脂肪を減らす決意をする女性

「内臓脂肪を減らしたい!」

そう頭で思っていても、これまで長い間行ってきた習慣を突然変えることは簡単なことではありません。

しかし一度にすべてを変えることができなくても、ほんの少しずつでもよい習慣へとシフトしていくことが大きな一歩となります。

その一歩を踏み出すために必要なことは、あなたの改善したいというその気持ちです。

小さな一歩でも続けることでそれは当たり前のこととなっていくでしょう。

健康診断の数週間前から慌てることなく、できることから少しずつ生活習慣を改善していきましょう!

この記事の監修は 医師 藤井 治子先生

【医師】藤井 治子
医師

藤井 治子

監修医

産婦人科専門医・医学博士
医療法人ハシイ産婦人科副院長
奈良女子大学非常勤講師

資格

日本産科婦人科学会専門医
母体保護法指定医
日本抗加齢医学会認定医
国際認定ラクテーション・コンサルタント
乳癌検診超音波検査判定医師A判定
マンモグラフィー撮影認定診療医師B判定
日本母体救命システム認定ベーシックインストラクター
臨床分子栄養医学研究会認定医

所属学会

日本産婦人科学会医会
日本女性医学学会
日本生殖医学会
日本産婦人科乳腺医学会
日本東洋医学会
日本超音波医学会
日本ラクテーションコンサルタント協会

学歴

高知大学医学部医学科卒業
京都大学大学院医学研究科卒業

大学卒業後産婦人科一般診療に従事し、大学院では胚着床メカニズムについて研究。
現在は地域医療を担う分娩施設で妊娠・出産を支えつつ予防医療にも力を注ぎ、
思春期から更年期まで全てのライフステージにおける女性特有の症状に、分子栄養療法や漢方療法を取り入れ診療を行なっている。

廣江 好子

【ライター】

美容・健康ライター。
ダイエッター歴○十年から脱却した、美を愛するアラフォー健康オタク。
趣味は料理と筋トレ。

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