こんにちは、WELLMETHODライターの和重 景です。

本格的な冬の到来を迎え、乾燥による肌トラブルが気になるという方も多いのではないでしょうか。

かさつき・ひびわれ・ゴワゴワ・粉吹き…乾燥による肌の悩みはつきませんよね。
乾燥肌の筆者も、手指のひびわれ、肌のつっぱり、体のかゆみ…これまでさまざまな肌トラブルに悩まされてきました。

そんな肌トラブル中でも最近とくに気になるのが「乾燥性湿疹」です。

「寒い時期になると肌にプツプツした湿疹ができる」
「エアコン下にいるといつの間にか体がかゆくなり、湿疹ができている」
「足に粉が吹いてかゆいなと思っていたら湿疹ができていた」

もしこのような症状があるようでしたら、乾燥性湿疹かもしれません。

掻いてはいけないと思いつつもかゆさを我慢するのは本当にストレスになりますよね。

一体、この乾燥による湿疹は、どのような原因で起こるのでしょうか?

乾燥の湿疹にはどのような対策をすれば良いのか。
また、市販薬はあるのかなど、不安に思う方も少なくないのではないでしょうか。

お子さんがいる方は「乾燥性湿疹は子どももなるの?」と疑問を抱いているかもしれません。

今回は、冬の乾燥するいまの時期だからこそ気をつけたい「乾燥性湿疹」について、原因と対策についてご紹介したいと思います。

1.乾燥性湿疹とは

乾燥性湿疹女性の足

乾燥性湿疹とは、皮膚の水分が減少し、乾燥することで湿疹が生じる病気です。
医学的には、皮脂欠乏性湿疹とも呼ばれています。

空気が乾燥する秋から冬に始まり、真冬は症状が悪化しやすく、多くは春先まで続く傾向にあります。

乾燥性湿疹は、皮脂分泌のピークを越える20歳前後以降からが多いものの、全年齢、子供の頃から発症することがあります。

では、どのようにして皮膚は乾燥するのでしょうか。

2.皮膚が乾燥しかゆみが生じるメカニズム

皮膚の一番外側は、非常に薄い皮膚の細胞が積み重なった「角層」により覆われています。この角層は、外からの菌や紫外線、化学物質などの外部刺激から皮膚を守る他、潤いを保つ役割を担っています。

2-1.皮膚が乾燥する

肌の状態

▲(左側)正常な肌 (右側)乾燥している状態の肌

この潤いを保つための役割を担っているのが、角層を構成する「皮脂膜」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」です。

「皮脂膜」は、皮脂と汗で構成される薄い膜のことで、皮膚の一番外を覆っており、水分の蒸発を防ぎます。

「天然保湿因子」は、角層にあるアミノ酸・尿素・塩類などから構成されており、水分を保持して潤いを保ちます。

また「角質細胞間脂質」は角質細胞の隙間を埋めている脂のことで、約50%がセラミドでできており、水分をつなぎとめて逃げないようにする働きがあります。

これら3つの働きは年齢とともに弱まるため、皮膚の水分保持力が低下し、肌は乾燥しやすくなります。

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2-2.皮膚が乾燥すると炎症が起こり、かゆみが生じやすくなる

乾燥した皮膚は、外部からの刺激を受けやすいために内部で軽い炎症が起こるようになります。赤いポツポツや目には見えない程度ですが、皮膚の奥で炎症が発生し、かゆみが起こります。

2-3.知覚神経が伸び、かゆみがおこる

かゆみを伝える知覚神経は、本来真皮の内側に留まっていますが、皮膚が乾燥すると角層のすぐ下にまで伸びてきます。

そのため、衣服の繊維やほこり、摩擦など日常生活のちょっとした刺激でもかゆみを感じるようになります。

乾燥性湿疹の女性

3.乾燥性湿疹の症状

いわゆる乾燥肌は、「乾皮症」と呼ばれますが、それが湿疹にまで発展すると「乾燥性湿疹」になります。

3-1.乾皮症

・浅いひび割れ
・白い粉が吹く
・見た目に湿疹はないのにかゆみが起こる

皮膚は乾燥すると、「乾皮症」と呼ばれる状態になります。

乾皮症の初期では、皮膚がかさかさと乾燥し、白い粉が吹いた症状がみられ、かゆみを伴うことがあります。

また、症状が進行するにつれて皮膚表面に浅いひび割れの症状が出てきます。

3-2.乾燥性湿疹

・小さなプツプツした赤い発疹
・全体的に赤い発疹
・グシュグシュとした状態

乾皮症をそのまま放置していると、「乾燥性湿疹」が起こります。
かゆみに耐えられず、かき壊して悪化すると、湿疹は悪化しグシュグシュした滲出液を伴うようになり、慢性化します。

乾燥に加え、小さな赤いプツプツ・赤い発疹・グシュグシュとした状態を伴うようになります。

かゆみは夜中目覚めるほどの強いかゆみを感じることがあります。

4.乾燥性湿疹になる原因

乾燥性湿疹になる原因は、加齢や体の洗いすぎの他、空気の乾燥や生活習慣なども原因になることから若い年齢から発症することがあります。

アトピー性皮膚炎や全身の皮膚が乾燥し皮膚が鱗状になる魚鱗癬(ぎょりんせん)は、遺伝的な要素があるため、小さな頃から顕著な乾燥肌を伴います。

4-1.加齢

症状の程度は個人差がありますが、年齢を重ねることで皮膚の潤い保持因子「脂質」「転園保湿因子」「角質間細胞脂質」が減少し、皮膚は乾燥しやすくなります。

とくに中高年になると手足(とくに下肢)に乾燥・湿疹がみられるようになります。

また、男性よりも女性は早い年代から症状がでやすく、空調が効いたオフィスに一日中いる人や皮脂分泌の少ない幼児にも起こりやすいといわれています。

4-2.体の洗いすぎ

バスグッズ

入浴時、ナイロンタオルなどにせっけんをつけてゴシゴシと体をこするとせっけんの成分が肌の潤い保持に必要な皮脂を奪うだけではなく、摩擦で肌に刺激を与えてしまいます。

また、お風呂上りにバスタオルでゴシゴシと肌を拭くことも良くありません。

油っぽい場所以外は、タオルや石鹸・ソープなどをつけて洗う必要はなく、湯船に浸かるだけで自然に古い角質は落ちていきます。
乾燥肌の人は、タオルではなく手洗いで十分ですし、無理に石鹸・ソープも使わない方が乾燥を防ぐことができます。

入浴後は肌の水分が急速に失われることが知られています。お風呂上りはバスタオルで優しく水分を拭い、できるだけ早く保湿剤を使用することが大切です。 

5.乾燥性湿疹の治療薬

乾燥性湿疹の薬

単なる乾燥肌であれば、肌を乾燥から守りかゆみを予防する「保湿剤」をしっかり塗ることで改善します。
乾燥性湿疹になってしまうと、保湿だけでは炎症が治らないため、一時的に「ステロイド外用薬」を使用せざるを得なくなります。

【WELLMETHOD監修医・桐村里紗先生のコメント】

ステロイド剤は長期間の連用で、皮膚に副作用が出ることを恐れている方も多いと思います。
私自身も、なるべく処方はしたくない派ではありますが、ここで粘ってしまうと、湿疹は慢性化してより悪化し、治りにくくなります。
むしろ、短期間に効果的に使用し止めることで、安全に使用ができます。

早めに皮膚科に相談する方が治療期間が短くてすみます。

ステロイド剤は適切な強さのレベルがあるので、必ず、皮膚科医に相談して処方してもらいましょう。
皮膚科以外の医師も処方はできますが、適切な選択をしないと、効かないものをだらだら長期塗り続けることになったり、逆に強過ぎるものを処方されたりするため、副作用のリスクを高めてしまいます。

 

5-1.保湿剤の選び方

保湿剤

保湿剤にはさまざまな種類があります。それぞれ長所・短所があるので、具体的に何を選んだら良いのかわからない場合は薬剤師や、皮膚科で相談をしましょう。

市販のものから医師の診察を受けて処方される保湿剤など、種類は幅広くあります。

また、軟膏・クリーム・ローションなど保湿剤によって種類が異なります。

べたつきが気になる方はローションやクリームタイプ、しっとりとした使用感が好みの場合は軟膏タイプなど、使用感の好みなどで試してみるのも良いでしょう。 

1.保湿剤①皮脂膜を補う

・白色ワセリン

白色ワセリンは皮脂膜の代わりとして水分の蒸発を防ぎます。

メリット…安価で肌への刺激が少ない
デメリット…ベタつきやすい  

2.保湿剤②天然保湿因子と水分の結合を促す

尿素やヘパリン類似物質などは、天然保湿因子の役割を補ってくれる働きがあります。

・尿素クリーム、ローション

メリット…保湿効果が高くべたつきが少ない
デメリット…傷など炎症部位に塗ると刺激感を感じることがある

・ヘパリン類似物質(クリーム・軟膏・ローション・泡スプレー)

メリット…保湿効果が高い、べたつきが少ない
デメリット…まれに刺激や赤みが出る

いずれの場合も、アルコールを含むローションは、顕著な乾燥がある際には刺激になります。
クリームタイプ、軟膏タイプを選びましょう。

3.保湿剤③角質細胞間脂質を補う

・セラミド

セラミドには、角質細胞間脂質を補う働きがあります。

メリット…市販品(医薬品・医薬部外品・化粧品)として販売され、ドラッグストアなどで手に入る
デメリット…価格が高い、医師による処方ができない

5-2.保湿剤の塗り方

保湿する女性

保湿剤は、乾燥した部位などに、広範囲の場合は手のひらを使い、湿疹などの狭い範囲は指先で薄く伸ばすように塗りましょう。

軟膏であれば肌が光って見える程度、クリームであればティッシュが肌にくっつく程度が理想です。皮膚のしわに沿って塗ると効果的です。
ベタベタに塗れば良いというわけではありません。皮膚の上に薄く伸びれば十分です。

1.入浴後すぐに保湿剤を塗る

保湿剤を塗るポイントは、入浴後すぐに塗ることです。

入浴後の皮膚は急速に水分が蒸発するため、お風呂から上がった数分以内に保湿剤を塗ることが理想的です。塗る際には、ゴシゴシと塗るのではなく、優しく皮膚をなでるように塗りましょう。

湿疹がみられる場合には、炎症がある部分に保湿剤を塗ると刺激となり、かゆみを招く原因になることがあるので注意しましょう。

すでに湿疹がある場合には、医師の指示のもと、保湿剤を使用しましょう。
ステロイド剤を炎症のない皮膚にまで塗り広げてしまわないよう、保湿剤を全体に外用した上で、湿疹がある患部のみにステロイド剤を使用します。

5-3.乾燥性湿疹治療薬ステロイド

乾燥が悪化し、湿疹ができた場合、短期間で症状の悪化をしっかりと抑えるためにステロイド外用薬を使用します。

ステロイド外用薬は自己判断で使用を続けると、「皮膚が薄くなる」など副作用がみられることもある上、しっかり炎症が治っていないのに自己中断するとぶり返して慢性化する原因になるため、ステロイドの種類、塗り方、塗る部位、日数などは皮膚科医の指示をしっかり守りましょう。

6.乾燥性湿疹にならないための日常生活

乾燥肌のかゆみや湿疹を予防するためには、肌が乾燥しないように日常生活で対策をしましょう。

普段から心がけることが肌へのかゆみ防止・乾燥性湿疹を起こさない秘訣になります。

6-1.加湿器で室内の湿度を上げる

加湿器

室内の空気が乾燥すると皮膚も乾燥しやすくなります。

とくに冬場は暖房の使用により室内の湿度はぐっと下がります。

そのため加湿器などを使用し室内の温度を理想の40~60%で保つようにしましょう。洗濯物を室内干しにするなども効果的です。

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6-2.体を洗う際はタオルでゴシゴシこすらない

肌がひびわれている、かゆみがあるからといってタオルでゴシゴシこするのはNGです。

乾燥と痒みがある場所には、天然素材であってもタオルを使わず、石鹸の泡のみで洗う、もしくは、湯船に浸かるだけにしましょう。

せっけんやボディシャンプーは使いすぎると体に必要な皮脂までも落としてしまうことがあるため乾燥肌用のせっけんを使うなど、選び方に注意しましょう。

6-3.熱いお湯で長湯をしない

冬場の寒い時期は、「熱いお風呂に入りたい」という気持ちにもなりますよね。

しかし肌の乾燥の観点からみると、熱い湯は肌の潤い保持に欠かせない皮脂までもが溶け出してしまい、肌の乾燥を悪化させることがあります。

潤い保持には適度な皮脂は欠かせないため、お風呂の湯の温度はぬるめにするよう心がけましょう。

また、体が温まると痒みがますため、あまり長湯もしない方が良いでしょう。 

6-4.保湿は欠かさない

保湿する女性

かゆみがないからといって保湿を怠ることはNGです。

とくに空気が乾燥している冬の寒い時期など、肌が乾燥しかゆみを起こさせないためにも保湿ケアは毎日行うようにしましょう。

自分にあった保湿剤を入浴後数分以内に塗ることが大切です。

6-5.肌に触れる下着類は肌に優しい素材を

チクチク・ゴワゴワした衣類やナイロンやウールの素材の衣類は肌に触れると刺激になることがあります。

肌に直接触れる肌着や下着は、綿やシルクなど肌に負担が少ない素材を選びましょう。 

6-6.ストレスをためない

精神的ストレスは、肌代謝のバランスを崩すとともにかゆみを悪化させる原因になることがあります。
かきたくなる衝動にも駆られやすくなり、湿疹を悪化させる原因になります。

日頃からストレスがたまりがちな人は自分なりのストレス解消法を見つけて、日頃からストレスをためないようにすることが大切です。

6-7.規則正しい生活、バランスの取れた食事を意識しましょう

規則正しい生活や十分な睡眠、バランスの良い食事など摂るように心がけましょう。

皮脂が少ないからと脂っこい食事を摂ることは逆効果です。

刺激の強い食べ物や香辛料はかゆみを悪化することがあるため、なるべく避けましょう。

アルコールは血流を促進してかゆみを悪化させるだけではなく、睡眠が浅くなり就寝中に皮膚をかき壊すことがあるので、控えめにしましょう。

7.正しい乾燥肌対策で乾燥性湿疹知らずの肌を目指しましょう

乾燥性湿疹をケアする女性

乾燥性湿疹は肌の水分保持力の低下による皮膚の乾燥が一番の原因です。

とくに乾燥しやすい冬のシーズン。

普段から水仕事や手指を使うことが多い私たち女性は、とくに気を付けなくてはいけません。肌のかゆみ・湿疹は何としてでも避けたいものですよね。

乾燥性湿疹は、毎日の肌の乾燥対策により予防することが可能です。

乾燥肌の筆者は、お風呂上りにはとにかく保湿を心がけるようにする・洗い物はゴム手袋・手を洗ったあとはハンドクリームをつけるなど毎日の習慣として取り入れています。

時間がなかなかとれなくても、こまめにケアすることが健やかな肌を保つための秘訣です。

「継続は力なり」の精神で、この冬を乗り切りましょう。

この記事の監修は 医師 桐村里紗先生

【医師/総合監修医】桐村 里紗
医師

桐村 里紗

総合監修医

内科医・認定産業医
tenrai株式会社代表取締役医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本抗加齢医学会所属

愛媛大学医学部医学科卒。
皮膚科、糖尿病代謝内分泌科を経て、生活習慣病から在宅医療、分子整合栄養療法やバイオロジカル医療、常在細菌学などを用いた予防医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。
監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。
現在は、執筆、メディア、講演活動などでヘルスケア情報発信やプロダクト監修を行っている。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演。その他「とくダネ!」などメディア出演多数。

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著作・監修一覧

  • ・『日本人はなぜ臭いと言われるのか~口臭と体臭の科学』(光文社新書)
  • ・「美女のステージ」 (光文社・美人時間ブック)
  • ・「30代からのシンプル・ダイエット」(マガジンハウス)
  • ・「解抗免力」(講談社)
  • ・「冷え性ガールのあたため毎日」(泰文堂)

ほか

和重 景

【ライター】

主に、自身の出産・育児やパートナーシップといった、女性向けのジャンルにて活動中のフリーライター。
夫と大学生の息子と猫1匹の4人暮らし。
座右の銘は、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。

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